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2018.09.04

ビッグデータでリアルに見える日本の政治的状況

ビッグデータでリアルに見える日本の政治的状況

こんにちは。Yahoo! JAPANビッグデータレポートです。

今、日本はさまざまな政治課題に直面しています。
従来のレポートでお伝えしているとおり、インターネット検索による注目度は人々の関心の強さを反映しています。そこで今回は、主要な政治的話題に対する関心度合いをYahoo!検索データから調査してみました。

政治的話題への関心度合い

2017年4月以降の主な政治的話題10カテゴリー(※1)について、その注目度の推移を見てみました。下図は、総検索量における政治的話題の注目度の変化を相対値で表したものです。比較のために、スポーツ(※2)に関する注目度の相対値も併記しています。政治的話題の関心の強さは時期によって変化していることがわかります。おおむねスポーツの注目度のほうが高いですが、政治的話題の注目度がスポーツを抜く時期もあったようです。

※1:外交・安全、社会福祉、森友・加計、働き方改革、少子化・子育て、ハラスメント、金融経済、原発、基地、改憲 の関連ワードを含む
※2:野球、サッカー、競馬、ゴルフ、フィギュアスケート、F1、バレーボール、テニス、バスケ、格闘技、ラグビー、陸上、NFL、ボートレース の関連ワードを含む

(図1)政治的話題の注目度の変化

政治的話題の注目度およびスポーツ関連の注目度の相対的な変化を時系列で表すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

カテゴリー別の注目度を比較すると「外交・安全」への注目が特に高いことがわかりました。続いて「社会福祉」「森友・加計」「働き方改革」「少子化・子育て」などの話題に注目が集まっています。

(図2)政治的話題の注目度

政治的話題の中でも外交・安全カテゴリーに大きく注目が集まっていることを示すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

上位5カテゴリーについて、話題の中身を詳しく見てみたところ、「外交・安全」カテゴリーの「北朝鮮関連」が突出して注目を集めており、他の話題と大きく差が開いていました。また、その他のカテゴリーでも話題によって関心度合いに差があるようです。

(図3)政治的話題上位カテゴリーの詳細

政治的話題の上位5カテゴリーについて詳細な話題ごとの注目度を表すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

時期によっても人々の関心は移り変わります。下図は政治的話題の注目度合計を100としたときのカテゴリーごとの指数の変化を見たものです。
ミサイル問題の発生時期に北朝鮮問題への関心が非常に大きく盛り上がっていたことがわかります。図1と合わせてみると、ここ1年ほどの政治的話題の盛り上がりはミサイル問題に大きく振り回されていたと言えそうです。

(図4)政治的話題のカテゴリー別注目度の変化

注目を集める政治的話題のカテゴリーは時期によって変化することを表すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

性別による傾向

次に、性別の注目度を見てみましょう。

(図5)性別の政治的話題の注目度

性別で注目度の高いカテゴリーが異なることを示すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

男性の関心が高いトップ3カテゴリーは「外交・安全」「社会福祉」「森友・加計」、女性は「外交・安全」「社会福祉」「少子化・子育て問題」。男性は1位の「外交・安全」へより集中する傾向があります。また「少子化・子育て問題」への関心度合いは性別で差が見られました。

性別による傾向をもう少し細かく見てみましょう。次の図は、注目度上位5カテゴリーの話題について、関心層の性別構成を見たものです。図の左側ほど男性比が高く、「働き方改革」「外交・安全」の話題が多く位置しています。右側は女性比が高く「少子化・子育て」「社会福祉」の話題が多いことがわかります。
同一カテゴリーの中でも、話題による関心層の違いが見られます。「少子化・子育て」カテゴリーに注目すると、「少子化」「パタハラ」は比較的男性比が高いのに対し、「不妊治療」「育休産休」「保育園」などは特に女性比が高くなっています。女性は喫緊の課題解決系の話題に強い関心を寄せていると言えそうです。
昨今話題の「働き方改革」ではどうでしょうか。男性比が特に高いのは「失業率」「解雇規制」「36協定」など、女性比が比較的高いのは「プレミアムフライデー」「一億総活躍社会」「同一賃金」などであり、ここでも違いが見られました。

(図6)政治的話題上位カテゴリの関心層(性別)

政治的話題の注目度を性別構成の順に並べて傾向を見たグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

世代による傾向

世代による違いはあるのでしょうか。

(図7)世代別の政治的話題への注目度

世代で注目するカテゴリーに違いがあることを表すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

いずれの世代でも上位カテゴリーの順位に大きな差はないものの、ヤング層は「外交・安全」カテゴリーへより集中しており、上の世代になるほど他のカテゴリーにも関心が広がる傾向です。シニア層では「社会福祉」「森友・加計」への注目が他の世代に比べて高いようです。

世代別の詳細を見てみましょう。左側から、ヤング層とミドル層の構成が高い順に並べています。「少子化・子育て」の話題は左側に集中しており、ちょうど子育て世代でもある比較的若い層の関心が高いことがわかります。
また、シニア層の関心が高かった「社会福祉」カテゴリーの話題に注目すると「福祉手当」「医療制度」が比較的若年層の関心が高いのに対し、「介護保険」「年金」は特にシニア層の構成が高くなっています。
「働き方改革」カテゴリーではどうでしょう。若い層は「解雇規制」「ブラック企業」など、シニア層は「一億総活躍社会」「裁量労働制」「36協定」などに関心が強いようです。ここでも、各世代にとってより身近で切実な話題に関心が集まる傾向が見られました。

(図8)政治的話題上位カテゴリの関心層(世代)

政治的話題の注目度を世代構成の順に並べて傾向を見たグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

エリアによる傾向

最後に、エリア別の傾向を見てみました。大きな差異はないものの「原発」カテゴリーは関東、「基地」カテゴリーは九州・沖縄が高い傾向にあるなど、地域性が見られるようです。

(図9)エリア別の政治的話題への注目度

注目を集める政治的話題のカテゴリーには地域差があることを示すグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

「基地」「原発」カテゴリーの主要な話題について関心層を比較してみると、いずれも近隣エリアの注目が高いというエリア特性がさらにはっきり見えてきました。基地問題、原発問題はいずれも日本全体の課題でありつつ、遠方の居住者にとっては関心を持ちにくいという傾向があるのかもしれません。

(図10)基地、原発関連の主要な話題の関心層

基地問題と原発問題の話題は地域性が非常に強いことを表したグラフ

資料:
Yahoo!検索データ(2017年4月〜2018年5月)

自分ごとにしか興味がない現代人

これらの傾向をまとめますと、

  • 近年の主要な政治的話題に対する国民の興味関心は、北朝鮮情勢に大きく左右されていた
  • 外交・安全問題など全方位的に関心を集める話題と、子育てや基地・原発問題などある一定の層の関心を強く集める話題が存在する
  • 社会全体にとって重要な話題であっても、自分にとってダイレクトな影響を及ぼすか否かで関心度合いは左右される傾向にある

私たちの社会はさまざまな課題を抱えています。どうしても自分にとって身近な話題のみに目が向きがちではありますが、まずは関心を寄せるところから始めたいと考えます。

Yahoo! JAPANビッグデータレポートでは、今後も社会課題に関する世の中の動きを可視化していく予定です。引き続き、よろしくお願いいたします。

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