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2013.11.21

景気の「今」を把握することは可能か?(III)

景気の「今」を把握することは可能か?(III)

お詫びと訂正

前回公開した「景気の「今」を把握することは可能か?新モデルへの挑戦」の一部内容において過去の指標改定を現在行われた指標改定と誤認した内容の文章を掲載しておりました。
現在はその文面をすべて取り下げておりますが、みなさまには誤解を招く内容をお伝えすることとなり、申し訳ございませんでした。

こんにちは、「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」チームです。

今回は2013年11月6日に予告レポートを公開した「Yahoo! JAPAN景気指標Ver3.0(以下Ver3.0)」をご紹介します。

■なぜVer3が必要なのか

先に公開した予告レポートでもご紹介しましたが、私たちが景気の予測の取り組みを続けていく中で、内閣府の景気動向指数は高い頻度で改訂が行われることが課題でした。
これまで発表してきた「Yahoo! JAPAN景気指数」のVer1.0やVer2.0のような景気動向指数そのものを予測する手法は、発表後にどうしても改訂によってかい離が生まれてしまいます。
かつ、内閣府発表の景気動向指数が過去にわたって修正された時に予測を再集計する必要も発生していたため、今回モデルの見直しを実施するに至りました。

その中で、景気動向一致指数の改訂対策として、“あること”に注目。
それは、景気動向指数は改訂により数値は変わるが推移波形はそれほど変わらないことが多いということです。
つまり、数字そのものの予測は改訂のたびに変動するため対応が難しいが、前月の数字に対して次の月はどれだけ上下するかの差分で予測すれば、内閣府の景気動向指数が改訂されたとしても影響が小さいのではと考え、Ver3.0の検討に着手しました。

■改定ポイント1:前月差の予測

Ver3.0では前モデルの大きな課題であった二つのポイントの見直しを実施しました。

一つ目はモデルの見直しです。(図1)

(図1)今回の改定のポイント①(前月差の予測)

今回の改定のポイント1の図

資料:
経済社会総合研究所景気統計部 ヒアリング

景気動向一致指数を構成する個別系列の中で、3カ月に一度数字が確定する「営業利益(全産業)」の影響による改訂や、1年に一回行われる季節調整による全期間の再計算など、全体の底上げや底下げが頻繁に発生。
また、内閣府の景気動向指数の算出方法はヒアリングの結果実数値の入力ではなく、前月差分を用いた算出であることがわかり、それらに対応するためこれまでの「実数値予測モデル」から「前月差予測モデル」(以下、差分モデル)へと変更しました。

実際に行われた景気動向一致指数の改訂について、その前後のグラフで比較してみました。(図2)

(図2)実数値の変化と前月差分の比較

(旧指数:2005年=100/新指数:2010年=100)

実数値の変化と前月差分の比較の図

資料:
景気動向一致指数/内閣府“指数”=内閣府 経済社会総合研究所景気統計部

このように、実数値の変化に比べて前月差のほうが変動幅が小さく、影響を受けにくいことがここから見てとれます。

■改定ポイント2:評価数の増強

二つ目の見直しは評価方法です。

これまでは翌月の予測値のみを評価する手法を採用していました。
すでに発表された景気動向一致指数を検証する際に単月のみの評価を繰り返して精度を高めていたことにより、評価段階ではかい離の少ない精度の高いモデルとなっていたものが未来の予測を行ったとたんにオーバーフィッティングが発生する可能性が少なからず残っていました。
そこで、翌月のみの評価から、今までの単月評価に加え最大15カ月先までの予測値で評価する方法へと変更を実施しました。(図3)

(図3)今回の改定のポイント②(評価数の増強)

今回の改定のポイント2の図

具体的には予測値の評価を1カ月後~15カ月後すべてにおいて実施、その中で最も安定するモデルを採用したことで、さらに安定したモデルの作成が可能となったのです。

■Yahoo! JAPAN景気指数Ver2.0とVer3.0の比較

実際にVer2.0とVer3.0それぞれを用いて、過去の内閣府指数を予測した結果を比較してみましょう。(図4)

(図4)Yahoo! JAPAN景気指数Ver2.0とVer3.0の比較

(指数:2010年=100)

Yahoo! JAPAN景気指数Ver2.0とVer3.0の比較の図

資料:
景気動向一致指数/内閣府“指数”=内閣府 経済社会総合研究所景気統計部、「Yahoo!検索」データ

サンプルモデルの一例の比較ですが、最大値および平均値においてVer3のほうが高い安定性を示しており、かつ内閣府指数からも大きなかい離がないことが見て取れます。
これによって、Ver3.0はVer2.0よりも安定した予測モデルとなったと言えます。

■景気動向一致指数を予測する

では、「Yahoo! JAPAN景気指標Ver3.0」を用いて実際に予測を行いたいと思います。

まずは2005年6月以降の内閣府指数の前月差分グラフと、Ver3.0を用いた予測差分のグラフを比較してみました。(図5)

(図5)内閣府指数と予測モデルの比較

内閣府指数と予測モデルの比較の図

資料:
景気動向一致指数/内閣府“指数”=内閣府 経済社会総合研究所景気統計部、「Yahoo!検索」データ

ところどころ多少のぶれはありますが、総じて高い一致を見せています。
このモデルをベースとして12月6日に発表予定(速報値)の10月分景気動向一致指数を予測した結果が(図6)です。

(図6)10月のYahoo! JAPAN景気指数(Ver3.0)

(指数:2010年=100)

10月のYahoo! JAPAN景気指数バージョン3.0の図

資料:
景気動向一致指数/内閣府“指数”=内閣府 経済社会総合研究所景気統計部、「Yahoo!検索」データ

その結果、「Yahoo! JAPAN景気動向一致指数」は9月と比べて10月分は「-0.4」の予測になり、11/7(速報値)にあてはめてみると「107.8」になると見ています。
はたして今回のモデルはどのような結果となるか、非常に楽しみです。

引き続き「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」をよろしくお願いいたします。

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