課題解決特集記事に登場するヤフーの佐川と吉川の写真。課題解決特集記事に登場するヤフーの佐川と吉川の写真。

課題解決特集 #1 情報技術社会の発展子どものインターネット利用、安心・安全な使い方とは

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約7割の青少年(10~17歳)がスマートフォン(以下スマホ)・携帯電話を所有し(※1)、0~6歳の子どもの半数以上がスマホといった情報端末を使う(※2)など、子どもたちがインターネットに触れることが当たり前になってきています。便利さを享受する一方で、どのように使わせたら良いか悩む保護者や先生も多いのではないでしょうか。そこで、ヤフー株式会社コーポレートインテリジェンス本部の佐川英美、吉川徳明にインターネットの安心・安全な使い方について聞きました。

※2017年4月に「ヤフーのCSRレポート2016年」の特集として公開した記事を再提出しています。

聞き手・文:瀬戸義章 写真:川畑嘉文
※1 平成28年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(内閣府)
※2 平成28年 未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査結果(子どもたちのインターネット利用について考える研究会)

PROFILE

  • 佐川英美

    佐川英美

    ヤフー株式会社 コーポレートインテリジェンス本部 政策企画部 政策企画5 リーダー
    2005年4月ヤフー株式会社に入社。「Yahoo!きっず」の編集担当として、「Yahoo!きっず検索」や、ネットマナーコンテンツ、教育機関への出張授業など、オフラインイベントの企画を担当。2013年より政策部門に異動し、有識者会議「子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)」などの活動を通し、青少年のネット利用に関する諸問題に取り組む。

  • 吉川徳明

    吉川徳明

    ヤフー株式会社 コーポレートインテリジェンス本部 政策企画部 政策企画3 リーダー
    2014年入社。入社前に行政官として安心・安全なインターネット社会に向けた政策に取り組んできた経験を活かし、国内外の会議における政策提言を行うとともに、事務局長を務める一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)などを通じて、政府・事業者・NGO間の連携を進める。

※肩書、部署名は掲載時のものです。

Q1:子どもがスマホに夢中です。一体子どもたちの間で今何がはやっているのでしょうか。

A1:小学生ではゲームの利用が約8割と最も多く、中学生になるとコミュニケーション・ツールとして使う割合が約7割に上ります。高校生では9割とさらに増えます(平成28年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」)。
もちろん音楽を聞いたり、動画を見たりしていますが、年齢が上がるにつれ、メールやゲーム、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて、学校の友人やオンライン上の知り合いとのやりとりを楽しむ傾向にあるようです。
また、最近では利用開始年齢がどんどん低年齢化しています。0~2歳までは機器の中にある写真や動画を見ていることが多く、3~6歳になると、ネット上の動画の閲覧、ゲームや知育アプリの利用が増えているようです。(「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査結果」)。

Q2:子どもにそろそろスマホを持たせたいと思っています。どんな点に気をつければ良いでしょうか。

A2:まずは、何のために子どもにスマホが必要なのか、親としてどんな機能を使わせたいのか、利用させる上で、どんなことが心配なのかを考えてみましょう。例えば、子どもの送迎や防犯用なのか、勉強や調べ物のためなのか、ゲームで遊ぶためなのか――などです。

スマホは携帯電話の延長線上にあるものではなく、高性能な小型のパソコンです。通話だけではなく、アプリを入れることでその利用用途は無限に広がります。利用目的に合せてフィルタリング機能をカスタマイズして活用したり、スマホの制限機能を設定し、利用できる用途を絞るなど、利用環境を整えていきましょう。

また、子どもたちがネットを利用する際に、最優先で対策すべき一番のリスクは、生命・身体の危機です。子どもたちが心身に一生消えない傷を負うことがないよう、また、子どもたち自身が知識不足から「加害者」になることがないように、発達段階に応じた利用制限と、段階的なリテラシーの育成がルールの作成と併せて重要ですね。

Q3:どんなルールが必要ですか?

A3:一方的に制限をかけ、ルールを押し付けるだけでは、子どもにとってはどうにかして突破する対象となってしまいます。どんなリスクを心配して制限をかけているのか、どんな能力を身に付ければその制限はクリアできて次のステップに行けるのか、その先の見通しを子どもたちに伝え、納得感のあるルールにすることが重要です。

スマホは、子どもに買い与えるのではなく、保護者が貸し与えるものとし、使い始める前にルールを決めることが肝心です。「作ったルールを破ったら取り上げる」「ルールを守っているか時々チェックする」といったことも決めておきましょう。ルールを通して、長時間利用による生活習慣の乱れを防いだり、発達段階に応じて利用させるコンテンツを決めたり、安全な利用環境を整えることで、未熟な知識の子どもでは判断できない情報への接触や、思いがけない危険に接触するリスクを軽減させることができます。

Q4:中高生の子どもにSNSを使わせる際にはどんな点に注意すればいいですか。

佐川英美

「ルールで一方的に縛るのではなく、保護者と子ども間のコミュニケーションが大切」と語る佐川

A4:「ネット上で発信した写真や発言は全世界に公開される」
「テキストコミュニケーションは感情が伝わりにくく、冷たく受け取られがち」
「一度拡散されるとすべてを消すことは難しい」といったインターネットの特性を正しく理解しておくことが重要ですね。

また、ネット社会が匿名社会でバーチャル世界と勘違いせず、現実の世界の一部と理解することが大切です。例えば、幼い子どもを一人で夜中の繁華街を歩かせませんよね? ネット上でも同じです。子どもに使わせて安全なサービスなのか、子どもたちの知識レベルで使いこなせるサービスなのか、きちんと周囲の大人が把握し見極めた上で、子どもたちと一緒に使い方やルールを考えていくことが重要なんです。

Q5:子どもにどのように必要なリテラシーを身に付けさせればいいでしょうか。

A5:自転車の練習をイメージしてください。最初は保護者とともに安全な場所で練習をして、時には擦り傷を作りながら上達していきます。スマホの利用も同様です。保護者の見守りや各種機能制限、フィルタリングなどによって安全な環境を整え、利用するサービスを発達段階に応じて段階的にステップアップしていくことが大事です。

保護者の方の中には、子どもの方が詳しいから――とひるんでしまう方もいますが、子どもより使いこなす必要はありません。子どもが誤解しがちなネットの世界の特徴や、最低限必要な知識を学んでおくことが大切なんです。そんなどんどん変化するインターネットを前に、悩んでいる保護者を支援するため、ヤフーでは2008年に「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」を立ち上げました。具体的な知識・スキルを身に付けてもらえるよう、「保護者のためのインターネットセーフティガイド」や「未就学児の情報機器利用 保護者向けセルフチェックリスト」といった教材を提供しています。

また、子どもたちにネットの使い方・付き合い方を楽しく利用しながら学ばせるには、子ども向けに配慮されたコンテンツを活用するのも手です。ヤフーでは子どもたちのインターネットデビューの場として、子ども向けポータルサイト「Yahoo!きっず」を1997年から提供しています。

未就学児の情報機器利用 保護者向けセルフチェックリスト(3歳から6歳)

下記からダウンロードが可能です

http://www.child-safenet.jp/material/checklist/

「Yahoo!きっず」はこちらから

https://kids.yahoo.co.jp/

Q6:高校生の子どもがいます。事件のニュースを見るたびに、なにかトラブルに巻き込まれたりしないか心配です。実際どんなトラブルが多いのでしょう?

吉川徳明

吉川は、政府や他社などにも働きかけ、健全なインターネットの環境づくりを進める

A6:高校生になると多くの子どもがスマホを利用するようになり、そこで巻き込まれるトラブルには、金銭面のトラブル、性的または残酷な動画や画像などの閲覧などさまざまなものがあります。親としては、全てのトラブルを防ぎたいところですが、まずは子どもの生命・身体に危害を加えるような最悪のトラブル、取り返しのつかないトラブルを回避することが重要ではないでしょうか。例えば、多くの高校生が利用するSNSでは、見知らぬ人と知り合うことができ、そこに付け込んで子どもたちを利用しようとする大人もいます。現に、警察庁の調査によれば、ネット上で知り合った大人に脅されて裸の画像を送ってしまった、児童買春の被害に遭ってしまったなどの例が高校生を中心に多く報告されています。SNSなどのコミュニケーション機能のあるサービスの利用にあたっては、子どもとリスクや利用方法についてよく話し合い、トラブルが起きた場合にはすぐに相談してもらえるような関係を築いておく必要があります。

Q7:ネット上でトラブルを起こしてしまいました。どこに相談すればいいですか。

A7:児童ポルノやリベンジポルノ・いじめ・薬物情報などの違法・有害情報について、削除を要請する窓口として「セーフライン」があります。2013年にヤフーなどのインターネット分野で事業を行う企業の連携によって発足したセーファーインターネット協会がセーフラインを運営しています。必要な場合には、警察などとも連携することで、被害の防止や軽減を目指して活動を継続しています。

基本的には相談があったその日のうちに、該当サイトを運営する事業者に削除依頼を行います。児童ポルノやリベンジポルノなど、子どもたちが被害者になることもある情報(動画・画像など)は90%以上が削除されています。また、海外サイトに掲載された場合でも削除が可能です。ネット上では情報がどんどん拡散されていってしまうため、被害に遭ってしまった場合は、なるべく早く相談するようにしてください。

違法・有害情報の通報はこちらから(一般社団法人 セーファーインターネット協会)

https://www.safe-line.jp/report/

ネットの安心・安全を守るヤフーの取り組み

1996年、日本初のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を開始したヤフーは、企業の社会的責任としてインターネットサービスの安心・安全に取り組んできた。1997年には子ども向けサービス「Yahoo!きっず」を開始。2013年にはヤフーが主体となって一般社団法人セーファーインターネット協会を立ち上げ、より良いインターネット社会の実現を目指す。

「インターネットが生活のあらゆる場所に浸透した今では、道具であるインターネットを『上手に使いこなす力を育てること』が大切です」

こう話すのは、ヤフー株式会社コーポレートインテリジェンス本部の佐川英美だ。入社以来、「Yahoo!きっず」などの編集を手掛けるとともに、ITリテラシーを高めるため、子どもや保護者向けにセミナーなどを企画してきた。「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」では、外部の専門家らと連携し、調査や適切な利用の啓発手法の研究や提言を行っている。

同じくコーポレートインテリジェンス本部の吉川徳明は、インターネットの健全な環境づくりのため、政策提言を行ったり、国内外の事業者らと積極的に議論したりしている。

吉川は「国際会議に参加すると、どの国も同じような問題に直面していることが分かります。危険な情報が外国のサーバーにあることも多いですから、なるべく早く消せるように各国で実務ベースの連携を進めていきたい」と話す。

児童の権利保護の観点から、世界各国で取り組みが行われている「児童ポルノ」の問題。日本は「児童ポルノの対策が遅れている」といわれがちだが、実態は、世界から見ても、政府も民間も取り組みは進んできている。

吉川は「ネット上に見えるようになった問題は最後の結果に過ぎません。例えば、児童ポルノの背景には、貧困の問題や、子どもの教育に無関心な家庭の問題があり、その結果として、子どもが危険な出会いなどのリスクにさらされているという面があります。『インターネットの問題だから』ではなく社会全体として、貧困などのより困難な問題に向き合っていくことが必要」と訴える。

佐川は「子どもたちがコミュニケーション・ツールを使って発信していくことは、トラブルになる恐れもありますが、世界とつながることで子どもたちの可能性が広がることでもあります。プラスに活用していくために、どのように子どものスキルを上げていくべきか、一緒に考えていきましょう」と呼びかけた。

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