課題解決特集記事に登場するヤフー本間と植田と西原と妹尾が並んでいる写真。課題解決特集記事に登場するヤフー本間と植田と西原と妹尾が並んでいる写真。

課題解決特集 #3ダイバーシティの推進ヤフーが目指す
社会課題を解決する働き方

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ヤフーは、フリーアドレス制やどこでもオフィスの導入をはじめ、課題解決休暇や副業の許可といった「働き方改革」を進めている。2016年10月に東京・紀尾井町に本社オフィスを移転。コワーキングスペースLODGE(ロッジ)を開設し、社外との交流を増やした。こうした新しい取り組み・制度は、ヤフーが目指す「社会課題を解決する働き方」につながっている。ヤフー社員がこれからの働き方について議論した。

※2017年3月に「ヤフーのCSRレポート2016年」の特集として公開した記事を再提出しています。

文=辻陽一郎 写真=川畑嘉文

出席者
本間浩輔(ヤフー株式会社 上級執行役員 コーポレート統括本部長)
植田裕司(ヤフー株式会社 スタートページ事業本部 開発1部長/オープンイノベーション室 コワーク推進部長)
西原希咲(ヤフー株式会社 スタートページ事業本部 開発1部 開発2)

ファシリテーター
妹尾正仁(ヤフー株式会社 コーポレート統括本部 コーポレートコミュニケーション本部社会貢献推進室長)

PROFILE

  • 本間浩輔

    本間浩輔

    ヤフー株式会社 上級執行役員 コーポレート統括本部長
    2000年に株式会社野村総合研究所を退職後、株式会社スポーツ・ナビゲーション(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画。
    2002年に同社をヤフーが買収し、ヤフーグループ入り。
    2012年4月、人事本部長に就任。
    2014年4月、執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長。
    2016年4月から現職。

  • 植田裕司

    植田裕司

    ヤフー株式会社 スタートページ事業本部 開発1部長/オープンイノベーション室 コワーク推進部長
    2007年入社。エンジニアとして、テレビとインターネットの連携やYahoo! JAPANトップページなどの開発を手掛けてきた。現在は開発者、デザイナー、企画など総勢約200人の組織の、クライアントエンジニアの部を束ねる。本社移転プロジェクトの責任者として「LODGE」を企画し、運営に携わる。

  • 西原希咲

    西原希咲

    ヤフー株式会社 スタートページ事業本部 開発1部 開発2
    2016年入社。Yahoo! JAPAN公式アプリの開発などを手掛ける。2016年の全社員ミーティングでは、最年少社員として登壇、先輩社員らと議論を交わした。

  • 妹尾正仁

    妹尾正仁

    ヤフー株式会社 コーポレート統括本部 コーポレートコミュニケーション本部社会貢献推進室長
    2009年法律事務所で弁護士を務める。
    2012年にヤフー株式会社入社。M&Aや経営戦略などに携わる。
    2015年から、社長室コーポレートコミュニケーション本部 社会貢献推進室の室長となる。

※肩書、部署名は掲載時のものです。

人や技術、社内のリソースを外にひらく

本間浩輔

ヤフー株式会社上級執行役員コーポレート統括本部長の本間浩輔。「社員の可能性を信じる『働き方改革』は、経営戦略そのもの」と語る

妹尾:ヤフーが導入している課題解決休暇や副業の許可などは、企業にとってお金を使った従来型の社会貢献ではなく、人や技術といったリソースを社会課題の解決に提供する新しい姿でもあります。また「どこでもオフィス」は、社員の好きな場所で働くことで、社会との接点を持つ新たな機会を得ることができます。ミッションに「課題解決エンジン」を掲げるヤフーが「働き方」にこだわる理由を教えてください。

本間:理由は2つあります。1つは、社員を会社に縛り付けてしまっては、生産性が上がらないということ。なぜなら、サービス産業では、会社に長くいたからといって、良いアウトプットができるとは限らないので。

これまでは「会社で働いてください」が当たり前でした。これからは会社のビジョンに合い、課題解決につながるのであれば、どんな働き方をしてもいいと思っています。

もう1つは、働く人と会社との関係です。社員は単なる労働力ではありません。社員の人生にとっても会社がすべてではない。会社と人は対等であり、人を一番大切にするべきだと考えています。会社の外で活躍し、世の中に貢献することで、その人が幸せになるのであれば、本人にも社会にも良いことです。

また、ボランティアや副業を通じて、活き活きと働けたり、ネットワークが広がったり、社員の技術が上がったりすることは会社にとっても価値があります。

働き方の自由度が成果につながる

妹尾正仁

ヤフーらしい社会課題の解決を進めるコーポレート統括本部コーポレートコミュニケーション本部社会貢献推進室室長の妹尾正仁

妹尾:植田さんはちょうど入社10年目、西原さんは入社1年目ですね。どこでもオフィスをはじめとするヤフーの「働き方」について聞かせてください。

植田:入社当時のオフィスは、机が理路整然と並び、いかに効率よくアウトプットできるかが重視される、工場的なイメージでした。それがどこでもオフィスが始まり、衝撃を受けました。

会社に来なくても、生産的に働けばいい。もともと開発の仕事が楽しく、不満があったわけではありませんが、場所にこだわらなくて良いことに気付きました。通勤から解放されるメリットも大きいですね。

メールでの業務報告や、毎週、上司が部下の成長を支援するために使う時間「1on1」といった制度との組み合わせで、どこでもオフィスがうまく機能していると思います。

西原:私は、好きなことを仕事にしたいと思っていたので、アプリの開発に携われるヤフーに入社しました。

開発の仕事をするようになったのは、2016年8月からです。わからないことは、メールで質問するよりもその場で先輩社員に聞く方が早いので、私はあえてどこでもオフィスを利用していません。

本当に理想的な働き方は、地元の沖縄で働くこと。まずは自分を鍛えて、ITに携わりながら、沖縄で働けたらよいと思っています。すぐにではないですが、どこでもオフィスを使って沖縄にて、1週間お試しで働いてみるということもやってみたいですね。

妹尾:どこで働くか、本人に選択肢があるということですね。

本間:どこでもオフィスを使わない、という選択肢も含め、働き方の自由度は高くなっています。でも成果は出してください、というのが「働き方改革」のポイントだと思います。

6,000人の多様な経験が課題解決につながる

西原希咲

ヤフー株式会社スタートページ事業本部開発1部開発2の西原希咲は「課題解決休暇」を利用するなど、社内外の交流を深めている

妹尾:普段の業務以外でも、年に3回まで、誰かのための課題を解決するため使える有給での「課題解決休暇」という制度もあります。個人にとって貴重な経験にはなりますが、会社にとってどんな狙いがあるのでしょうか。

本間:ヤフーのミッションに「課題解決エンジン」を掲げている以上、いろいろな形で課題解決を経験する必要があります。仕事以外でも「誰かの課題解決」に貢献してほしいという思いから、課題解決休暇は生まれました。

社員が3日、会社に来ないことは大きな問題ではありません。むしろ、社員6,000人が3日ずつ多様な経験をすることに意味があります。オフィスで座って仕事をするよりも、地域のボランティアに参加したり、社会の課題解決に取り組んだりする方が学習効果も高く、経験値が上がり、ネットワークも広がっていくと考えています。

妹尾:西原さんは2016年9月に課題解決休暇を取得したそうですね。何がきっかけでしたか。

西原:先輩に声をかけられ、小学生向けのプログラミング教室を手伝うために2日間取得しました。社員5人で小学生約15人にプログラミングを教えました。

小型PC「ラズベリーパイ」を接続したり、簡単なゲームや自動制御自動車、光るサングラスなどを作ったりしました。みんなが楽しんでくれるのを見て、私たちも初心にかえってうれしくなりました。普段接点のない他部署の社員と出会えたのも良い機会でした。

本間:これからの国力はIT人材の数で決まるという人もいます。プログラミング教育は、行政や学校だけではなかなか実現できない、ヤフー社員らしい社会への貢献の形です。また、人に教えるためには自分も学ばなければいけません。社員自身の成長にもつながります。

西原:最近では農業にも関心があります。農家の人手不足が問題になっていますが、次に課題解決休暇を取得するときには稲刈りなど、農作業の手伝いをしてみたいです。

本間:エンジニアが農作業を体験したら、農家のための便利なアプリが生まれるかもしれない。異業種が掛け合わさることで、イノベーションが起きていく。「IT×農業」のようなかけ算を作っていくことが、課題解決休暇の醍醐味ですね。

ワクワクする山小屋的な存在に

植田裕司

ヤフー株式会社スタートページ事業本部開発1部部長の植田裕司は「社内のリソースを社外にも積極的に開放していきたい」と話す

妹尾:コワーキングスペース「LODGE(ロッジ)」も、イノベーションが起きるきっかけになる場所だと思います。フリーアドレス制導入で社員も多く利用していますが、それ以上に毎日たくさんのゲストがLODGEに集っていますね。

植田:社員も外部の人も「ごった煮」になるのが理想でしたが、実態としても利用者の割合は、社員と外部ゲストがちょうど半々です。また、ほぼ毎日イベントが行われており、社員が主催するものもあれば、ヤフーがコラボさせていただく形で社外の方が主催するものもあります。

LODGEという名前は、山の頂上を目指すイメージから来ています。出発に向けて作戦会議をする場所。ワクワクする山小屋的な存在でありたいねと、企画段階から話していました。

妹尾:「ごった煮」という表現もありましたが、LODGEはまさにヤフーのユニバーサルな社風やサービスを反映しているんですね。

植田:あるとき、LODGEでVR(バーチャルリアリティー)ゲームを行っていました。そのとき、偶然近くでイベントに参加されていた地方の生産者が、VRゲームに興味を持って参加してくれました。

VRと地方の生産者のように、普段関わりがないような人たちが偶発的に交わり、つながる瞬間はとてもうれしい。ここから何が生まれるのかとワクワクします。

紀尾井町オフィスでは、約5,000人の社員が働いています。彼らのノウハウや技術があれば、何でも解決できるはず。例えば、大学生がプログラミングについて尋ねてきたら社員が教えることもできます。ITの知識だけではなく、5,000人もいるとユンボ(パワーショベル)に乗れる社員もいますよ。

LODGEに来れば、何らかの答えがある。いろんな人が交わることでイノベーションが起き、社内外の課題を解決していく場所でありたいです。

「働き方改革」は社内制度ではなく経営戦略そのもの

妹尾:お二人はこれからヤフーでどういった働き方をしていきたいですか。

西原:ヤフーには成長につながるいろいろな制度があります。先輩たちからも吸収したいですし、エンジニアとして鍛えられる経験は全部したい。今後も課題解決休暇を利用して、新しいことにもチャレンジしたいです。

植田:以前本社を置いていた六本木では、地域の方々に貢献できているとは言えませんでした。ですから次に引っ越すことがあれば、現本社がある紀尾井町のみなさんに残念だと思ってもらえるくらい、地域とのつながりを大切にし、LODGEに集まる人たちと共に社会課題を解決していきたいです。

妹尾:働き方改革や制度の充実は、業績が良いからできるのでは、という意見もあります。

本間:それは考え方が逆で、私はこうした働き方が事業を伸ばしていく、と信じています。ヤフーの制度は、性善説。会社が社員を信頼しないのに、社員が会社を信頼してくれるはずがありません。社員を会社に縛り付けて、制度でがちがちにして、イノベーションが起きるのでしょうか。

優秀な社員がのびのびと働き、企業として社会に貢献し、社会から必要とされることが、私たちが生き延びる方法。今日話題に出たような働き方改革は単なる社内制度ではなく、経営戦略そのものなのです。

注記

フリーアドレス制=2016年10月、東京ガーデンテラス紀尾井町への本社移転に伴い、「フリーアドレス制」を導入。約5700人が、20フロアある執務エリアの好きな場所で働くことができる

「1on1ミーティング」=週に1回約30分程度、上司と部下が1対1で面談を行う

どこでもオフィス=連絡がつけば普段とは異なる好きな場所で働くことができ、そこから良いアイデアを生み出したり、業務効率の向上などにつなげる制度。「!」なサービスを産み出すことを目的としている。2016年10月から月2回から5回に拡大した

課題解決休暇=年度で3日を上限として休暇を取得できる。休日に参加した場合、平日に休暇を振替取得可能。2013年4月の開始以来、利用件数は1300件に上った

サバティカル制度=勤続10年以上の正社員を対象に、2~3カ月の範囲で取得可能な休暇制度。休暇期間中、一定期間は会社が支援金を支給

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