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プレスリリース

2013.10.25

「Yahoo!みんなの政治」の閲覧は投票行動の促進に効果的
~ 選挙期間中の閲覧は、投票率を5~7%向上させることが明らかに
2013年夏の参院選時の調査から ~

 ヤフー株式会社(以下 Yahoo! JAPAN、代表取締役社長 宮坂 学)と国立情報学研究所(以下 NII、所長 喜連川 優)の小林 哲郎准教授は共同で、2013年7月21日に投票が行われた参議院議員選挙の選挙期間において、Yahoo! JAPANのページ閲覧と投票行動との関係について調査を実施しました。その結果、政治ポータルサイト「Yahoo!みんなの政治」を閲覧することは、閲覧しなかった場合に比べて、5~7%投票率を向上させる効果があったことが明らかになりました。
また、Yahoo! JAPANとNII 小林 哲郎准教授は、2012年12月に行われた衆議院議員選挙の際にも共同調査を行い、「Yahoo!ニュース」の閲覧が政治知識の向上に効果があることを明らかにしていますが、今回も同様の政治知識向上効果が確認できました。  今回の調査では、前回の調査に回答したユーザーと、今回新たに対象とした新規ユーザーの両方からサンプルを得て、2012年末の政権交代時から約半年間の有権者の意識の変化とYahoo! JAPAN利用の関係についても検討しました。 <調査の概要> ■調査方法:インターネット調査 ■調査対象:「Yahoo!リサーチ」モニター登録ユーザーのうち、全国の満20歳以上の有権者 ■事前調査 ・調査期間:2013年7月2日~2012年7月8日 <新規サンプル> ・回答数:1,545名 <2012年衆議院議員選挙からの継続サンプル(以下、「継続サンプル」)> ・回答数:618名 ■事後調査 ・調査期間:2013年7月21日 20:00以降(投票日の投票締切時刻以降) ※事前調査に回答したユーザーが事後調査も回答 <新規サンプル> ・回答数:1,236名 <2012年衆議院議員選挙からの継続サンプル> ・回答数:515名 ■両者の役割 ・調査データの解析:NII 情報社会相関研究系 准教授 小林 哲郎 ・閲覧ログの解析:Yahoo! JAPAN <調査結果の抜粋> ■新規サンプルを分析した結果、参議院議員選挙の期間中に「Yahoo!みんなの政治」を1回以上閲覧することは、1回も閲覧しなかった場合に比べて、平均して5%~7%程度投票率を高める効果がありました。 ■新規サンプルを分析した結果、Yahoo! JAPANトップページの「Yahoo!ニュース」トピックス見出しを閲覧することは、もともとの政治的関心の高低に関わらず、政治知識の学習効果がありました。これは、2012年12月に行った前回の共同調査の結果に引き続き確認された効果です。 ■本調査は、閲覧有無を閲覧ログから特定した画期的な調査により、政治ポータルサイトの閲覧が投票を促進する効果を日本国内で初めて明らかにしました。 <調査結果に関する考察>  「Yahoo!みんなの政治」は、「相性診断」(マニフェストマッチ)や各党の政策比較などのコンテンツを持ち、政策情報を一覧性の高い形でまとめており、有権者がより深く各党の政策について学ぶことを可能にしています。  有権者が候補者に関する情報を得たり、政党ごとの政策の違いを知ることは選挙において非常に重要です。新規サンプルを分析した結果、こうした政治ポータルとしての特長が有権者の政治情報の入手を容易にし、投票を促進している可能性が明らかになりました。  これらの結果は、一般のニュース接触とは異なる政治ポータル閲覧の効果を示している可能性があります。ニュースは時系列で様々な情報を提供しますが、情報を整理して一覧性の高い形で提示することには必ずしも適していません。  「Yahoo!みんなの政治」に代表される政治ポータルサイトは、このように従来型のマスメディアにはない特長を持っており、情報をわかりやすく蓄積・整理し、有権者がより深く政策について知る機会を提供することで、政治的意思決定をサポートする利点があります。  本研究は、ページの閲覧データを利用して、2013年参議院選挙期間中に「Yahoo!みんなの政治」を閲覧することに、投票を促進する効果が見られることを裏付けました。  これまでの研究は、アンケート等の社会調査を用いてインターネットの利用を調査するものがほとんどでしたが、本研究は、社会調査データと閲覧ログを同一サンプルから取得することで、政治ポータルサイトの閲覧が投票を促進する効果を国内で初めて明らかにしました。 <調査手法の詳細> ■事後調査において、2013年7月21日に行われた参議院選挙で投票したかを測定。あわせて、閲覧ログをもとに、事前-事後調査間に「Yahoo!みんなの政治」を閲覧したかを調査。 ・投票率    新規サンプル:71%、継続サンプル:75% ・事前-事後調査間にYahoo!みんなの政治を閲覧した割合  新規サンプル:27%、継続サンプル:25%  「Yahoo!みんなの政治」の閲覧者と非閲覧者は、もともと閲覧者のほうが高い政治関心を持っているなど、様々な面で異なっています。したがって、単純に閲覧者と非閲覧者の投票率を比較するだけでは、それが「Yahoo!みんなの政治」閲覧によって生じた効果なのかが判別できません。  これまでのほとんどの研究では、投票に効果を持つと考えられる様々な要因を回帰モデル(※1)の説明変数に含めることで、閲覧の効果を明らかにしようとしてきました。  しかし、この方法にはいくつかの問題があることがわかっています。まず、投票に効果を持つ要因は無数に考えられるため、重要な要因が観測されず、考慮されていない場合には、推定値にバイアスがかかります。さらに、従来型の回帰モデルの多くは線形関数を仮定していますが、この強い仮定が満たされていない場合には推定値にバイアスがかかります。  今回の調査では、こうした問題に対処するために、傾向スコアを用いた重みづけを行うことによって、より妥当な因果関係の推論を行いました。これは、薬の臨床試験で用いられる手法と似ています。薬の臨床試験においては、薬を服用する群と服用しない(あるいは偽薬を飲む)群に参加者をランダムに割り当てます(無作為配置)。これにより、薬の服用有無以外の要因が2群間で期待値レベルで等しくなったと仮定でき、服用した群に何らかの効果が見られた場合、それは薬の効果であると結論付けることができます。  本調査では、まず「Yahoo!みんなの政治」閲覧の有無を予測するモデルを以下の共変量(※2)とその交互作用を用いて推定し、閲覧群と非閲覧群の間に存在するいかなる差も統計的に無視できるほど小さくなるように、各回答者を重みづけします。このことによって、無作為配置実験と同様のデータを統計的に作り出し、従来型の回帰モデルでは難しかった因果効果の推定をより妥当性の高いレベルで行うことが可能になります。(※3) ・共変量リスト: 性別、年齢、年齢の二乗、学歴、エンターテイメント志向、ニュース接触の定期性、テレビニュース接触、新聞接触、テレビニュースショー接触、ネットニュース接触、Yahoo!JAPANホームページ設定、ニュースに求めるもの(速報、詳細、意見、娯楽)、メディア信頼、政治的会話頻度、政治的関心、政党支持の有無、保革イデオロギー、安倍政権業績評価、自民党感情温度、民主党感情温度、争点態度(アベノミクス、原発再稼働、従軍慰安婦、TPP、尖閣・竹島、憲法96条改正)、争点知識量(アベノミクス、原発再稼働、従軍慰安婦、TPP、尖閣・竹島、憲法96条改正)、市民的知識、争点知識量2、認知欲求、評価欲求、情動欲求、完結欲求、「Yahoo! JAPAN」トップページ閲覧頻度、「Yahoo!ニュース」閲覧頻度、2012年投票の有無(継続サンプルのみ)  新規サンプル(回答数:1216)を用いて推定した、「Yahoo!みんなの政治」閲覧の効果を95%信頼区間とともに示したものが下図になります。閲覧群と非閲覧群の投票率の差は約7%であり、これは5%水準で統計的に有意な効果です。
「ヤフーみんなの政治」閲覧が投票率に及ぼす効果グラフ
「Yahoo!みんなの政治」の閲覧が投票率に及ぼす効果(新規サンプル)
(※1)説明変数と被説明変数の関係を何らかの関数でモデル化し、両者の相関関係を明らかにする分析方法です。 (※2)「Yahoo!みんなの政治」閲覧と投票の有無の双方に影響を与えうる変数のことを指します。 (※3)ただし、調査で測定されていない共変量が投票の有無と相関し、かつ測定された共変量によって予測されない場合には、この方法によってもまだバイアスが残っている可能性があります。 <まとめ>  本研究は、インターネットを活用したコンテンツが政治情報を広く社会に届ける重要な役割を果たしていることを裏付けるものとして意味があります。  NII 小林 哲郎准教授は今後も、メディアと政治の関係について実証研究を展開していきます。またYahoo! JAPANは、インターネットならではの手法を活用した情報発信によって大きな影響力を持つサービスとして、政治的知識を始めとした様々な事象について理解し、考える場として、「Yahoo!みんなの政治」「Yahoo!ニュース」を更に進化させていきます。

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