経営方針

トップメッセージ

ごあいさつ

代表取締役社長の宮坂 学です。おかげさまで、当社は2016年に創業20周年を迎えることができました。これもひとえにステークホルダーの皆様のご支援のたまものと心より感謝申し上げます。
この20年を振り返りますと、国内初の商用検索サイトとしてスタートした「Yahoo! JAPAN」は、その後も、国民から親しまれる「Yahoo!ニュース」や「Yahoo!オークション」(現「ヤフオク!」)など、社会や時代のニーズに即したインターネットサービスを生み出し、利用者の生活を豊かにすることに寄与してきました。近年では、スマートフォンの普及によりインターネット利用が拡大するなかで、ヤフーグループ(以下「当社グループ」)は、時代の潮流を見据えた積極的な事業戦略を進めてきたことで、スマートフォン経由のアクセスが伸張し「Yahoo! JAPAN」の利用者数、利用時間、利用頻度がともに増加しています。
20周年という一つの大きな節目を迎えた今、あらためて思うことは新体制後のミッション「課題解決エンジン」であり続けることの大切さです。情報技術で日本の人々や社会の課題を解決するという姿勢が、事業環境の変遷のなかで新たなサービスを生み、当社グループをより強く成長させました。これまでの20年の成長は絶え間ない改革の成果であると考えます。そして次の20年、今ある課題を解決するだけではなく、未来志向で日本社会に新たな希望を作り出すことにも取り組んでいきます。そのため20周年となる今年の2016年に、新ビジョンとして「UPDATE JAPAN」を掲げました。現在の収益の柱である基幹事業の継続した改革を行うとともに、先行投資の局面にあるショッピング事業やクレジットカード事業を収益の中核を担う存在に育てながら持続的成長を図ります。また、これらのサービス利用から生み出されたデータを蓄積・解析し、利用者への最適な情報やサービスの提供に役立て、収益拡大へつなげていきたいと考えます。これからも当社グループは創造と挑戦を重ねながら、「Yahoo! JAPAN」のさらなる進化を目指していきます。

2015年度の業績総括

当社グループの2015年度の連結売上高は6,523億円(前年度比52.2%増)、営業利益は2,249億円(前年度比14.1%増)、税引き前利益は2,265億円(前年度比8.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,716億円(前年度比29.0%増)でした。

連結売上高は、広告関連事業が順調に推移したことに加え、2015年8月にアスクル(株)を連結子会社化した影響もあり、前年度を大きく上回る増収となりました。利益面については、データ基盤関連への投資に加え、アプリ利用の促進や、「Yahoo!ショッピング」、クレジットカード事業をはじめとした先行投資事業の成長を加速するための販売促進活動を積極的に展開したものの、アスクル(株)の企業結合に伴う再測定益が計上されたため増益となりました。これにより、サービス開始以来、19期連続で増収増益を達成しました。
重要な指標であるeコマース国内流通総額については、「Yahoo!プレミアム」会員を軸に展開した施策が奏功し、「Yahoo!ショッピング」流通総額の成長率が躍進しました。さらに、このeコマース関連サービスの成長に伴い、ワイジェイカード(株)の有効会員数、取扱高がともに大きく増加しました。「Yahoo!プレミアム」会員等を含む月額有料会員ID数は、2016年3月末時点で1,673万人に達しました。

<広告関連事業>
2015年度の広告関連売上高は2,669億円(前年度比6.8%増)となりました。2015年度の広告関連事業における大きな変革は、スマートフォン版「Yahoo! JAPAN」トップページのデザインをタイムライン型に変更し、コンテンツの一部を利用者の興味関心に合わせてパーソナライズ化したことです。これにより、画面サイズの小さなスマートフォンにおける情報閲覧の利便性を向上させることができました。また、タイムライン上に配信したインフィード広告を含む「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」が広告売上高の成長をけん引し、課題であったスマートフォンでのディスプレイ広告の収益化について、解決の糸口が見えた1年でもありました。これにより、広告売上高におけるスマートフォン経由での売上高の比率は40%を超えましたが、依然としてブラウザーからの利用割合が高いため、アプリ利用への移行を進めています。
現在、当社グループが提供するアプリは100を超えていますが、利用者の生活シーンに合わせてこれらを統廃合し、圧倒的な利用者数、存在意義のあるフラッグシップアプリに集約する計画を進めています。ポータルサイトでNo.1といわれた「Yahoo! JAPAN」は、アプリでも圧倒的No.1になることを目指します。

<eコマース関連事業>
2015年度の当社グループのeコマース国内流通総額は1.5兆円(前年度比26.5%増)となりました。
「Yahoo!ショッピング」については、2013年10月にストア出店料等の無料化を導入して以降、売り手・商品数の拡大、サービス品質の改善に地道に取り組んできましたが、商品数が国内最大(*1)となり、サイト閲覧から購入に至る率(コンバージョンレート)が向上したこのタイミングで、販売促進活動を積極的に展開しました。その結果、2015年度第4四半期の「Yahoo!ショッピング」と「LOHACO」を合わせた流通総額は1,128億円(前年同四半期比61.8%増)に拡大し、市場の成長率を大きく上回る結果となりました。ショッピング広告売上高についても第4四半期は26億円(前年同四半期比2.3倍)に増加しました。2016年度についても、効率性の高い施策にフォーカスして流通総額を拡大していきます。
オークション関連については、商品落札時に出品者の方にご負担いただく手数料率を改定し、その収益をもとに、従来は買い手が負担していた「Yahoo!かんたん決済」手数料の無料化、ヤマト運輸(株)との連携により手頃な料金での配送を提供する「ヤフネコ!パック」を開始しました。中古品の顕在市場は約1.5兆円(*2)、さらに中古不動産、中古自動車市場、中古品の潜在市場を合わせると11兆円(*3)の市場規模と推計されます。自宅に眠る中古品から自動車・不動産に至るまで、自分で、手軽にインターネット上で売買できる循環型社会の形成を当社グループが先駆者として推進していきます。
eコマースサービスでは、「「Yahoo! JAPAN」なら、欲しいものがすべて見つかる、買うことができる、そして売ることもできる」という唯一無二の存在になることを目指します。

*1 「Yahoo! JAPAN」調べ(2015年度末時点)
*2 出典:「中古ビジネスデータブック2015」(リサイクル通信 2013年の推測値)
*3 出典:「平成21年度電気電子機器等の流通・処理実態調査及びリユース促進事業」(環境省 平成22年3月)、平成22年6月18日閣議決定「新成長戦略」(内閣官房国家戦略室)を参照して当社で試算した推定規模

<決済金融関連事業>
当社グループは前年度より、広告、eコマースに次ぐ第三の収益の柱として、決済金融関連事業における新たな取り組みを開始しています。2014年度のジャパンネット銀行への出資比率引き上げに続き、2015年度はワイジェイカード(株)を連結子会社化しクレジットカード事業にも参入しました。当社グループのeコマース国内流通総額における当社グループの決済金融サービスの利用割合はいまだ半数程度に過ぎず、今後の成長余地は大きいと考えています。「Yahoo! JAPAN ID」だけで一気通貫して安心安全な購買が完了し、さらには当社グループのサービスを複数利用すればするほど利用者が恩恵を享受できるような好循環を創出していきます。

次の20年へ 「UPDATE JAPAN」

この20年で、インターネットの技術は飛躍的な進歩を遂げ、人々の生活を一変させました。しかし、日本人の希望や幸福度は、暮らしが便利になった今と20年前で比べても大きな変化は感じられません。
こうした認識のもと、私たちは、情報技術力で「日本を希望あふれる社会に大きく変えていきたい」という思いを込め、次の20年で挑戦するビジョンとして「UPDATE JAPAN」を定めました。現在、当社グループでは「広告」「eコマース」「決済金融」を事業の3つの柱として展開していますが、この既存事業のすべての領域でイノベーションを起こしながら、より強固な経営基盤を築いていきたいと考えています。そして、インターネットの力で日本の社会全体に貢献できる会社を目指します。
そのためには、まず「Yahoo! JAPAN」自身が進化しなければなりません。設立から20年がたった今、「Yahoo! JAPAN」はインターネットサービスのさまざまな分野で国内トップの地位を堅持し、業績も過去最高を更新し続けています。そうしたなかでも、役員、従業員一人ひとりが現状に安住することなく、新たな価値の創出に向け挑戦し続けることが大切だと考えます。そして会社としても、従業員がさまざまな経験を積み成長できる機会を平等に提供するため、「才能と情熱を解き放つ」ことをコンセプトとした人財活用の環境整備を進めていきます。
また、最先端の領域に対応し、イノベーションを起こし続けるためには、これからの時代に適合した強い技術基盤および卓越した技術力が不可欠です。そのため当社グループは、2016年3月、米国のシリコンバレーに新たな技術開発拠点を開設しました。「Yahoo! JAPAN」の強さの一つは、大量のトラフィックやデータにあり、検索、ニュース、eコマースなどの幅広いサービスを展開するなかで、膨大な情報を蓄積しています。当社グループは、これを生かすために技術を磨き、新たなテクノロジーで日本社会をUPDATEしていきたいと考えます。

コーポレート・ガバナンス

当社グループは攻めの経営を進めると同時に、コーポレート・ガバナンス等の企業としての基盤を強化することが、中長期的な企業価値の増大を図るために必要不可欠だと考えています。
2015年6月1日に施行されたコーポレート・ガバナンスコードでは「透明・公正かつ迅速・果断な意思決定」と「攻めの経営」が軸となっています。
インターネット業界においては特にスピード感をもった経営判断が求められており、ガバナンスコードが目指す方向性と当社グループが目指すべき方向性は同じと捉えています。当社は同コードの趣旨を尊重し、当社にとって最適な会社機構についてあらためて検討した上で、2015年6月18日に監査等委員会設置会社に移行いたしました。独立社外取締役を2名選任することで透明性・公正性を高めつつ、「取締役会はモニタリング」、「執行役員は経営の執行」という両者の機能・役割を明確にしました。取締役会はモニタリング機能としての役割を担うとともに、中長期の経営の方向性を議論する場としていきます。またさまざまな権限を執行役員に委譲することで、攻めの経営体制をよりいっそう強化します。なお、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役3名の計8名で取締役会を構成しています。

株主還元

当社は中長期的かつ持続的な企業価値の向上を目指しており、そのためには、将来の成長を見据えたサービスへの先行投資や設備投資、資本業務提携を積極的に行うことが重要だと認識しています。同時に、利益還元を通じて株主の皆様に報いることが上場会社としての責務と捉えています。こうした方針のもと、2015年度の期末配当金は、前年度の期末配当金と同額となる、1株当たり8.86円とさせていただきました。これにより2015年度の配当金総額は504億円となります。また、2016年度の期末配当金につきましても、1株当たり配当額を同額で継続する予定です。

「Yahoo! JAPAN」のこれまでの20年間は、常に新しい何かを創り出してきた変革の歴史です。そして次の20年も、サービスやビジネスモデルの革新を進めながら「UPDATE JAPAN」の具現化を果たし、当社グループのさらなる成長を目指していきます。皆様には引き続きご支援を頂けますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

2016年6月22日
ヤフー株式会社
代表取締役社長・CEO
宮坂 学