【アスリート社員として働く】車いすフェンシング:加納慎太郎

【アスリート社員として働く】車いすフェンシング:加納慎太郎

障がい者アスリートが現役期間中に競技活動と両立して業務経験を通じスキルを習得できる「障がい者アスリート制度」を使ってヤフーで働くアスリート社員たち。

今回は、車いすフェンシングの加納慎太郎に、どのように仕事と選手生活を両立しているのか、これから挑戦したいことなどを聞きました。

-  現在の、選手生活と仕事の両立スタイルについて教えてください。

私は今年の4月に入社しました。現在は、平日は朝8時から13時まで勤務するという時短勤務で働いています。午後は22時、23時くらいまでトレーニングやリハビリ、練習などをしています。週末は試合や合宿に参加したり、朝から練習したり、ということが多いです。
ライバルの選手たちは毎日、朝から練習しているので、少しでも効率良く練習をすることを考えていますし、「食事も、睡眠も、休憩も練習のうち」と思っています。

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(左が加納)

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(右が加納。 立位での練習もしています)

-  入社前は、どのような生活だったのですか?

義肢装具士になるための学校に通いながら、授業が終わってからトレーニングや練習をしていました。
当時は、「ピスト」という、車いすを固定する器具も、車いすもなかったので、練習環境としてはあまり良くありませんでした。
そのため、健常者の選手と立って練習をして、車いすの試合でも使えそうな技術を吸収する、という生活が3年くらい続いていましたね 。
その後、車いすフェンシングが五輪種目に決まったことをきっかけに、練習場に車いすや道具をそろえてもらえるようになりました。

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「今しかやれない競技生活を」

-  ヤフーへの入社のきっかけを教えてください。

山本篤さんという選手の講演を聞きにいったことがきっかけです。彼は日本の義足陸上競技選手初のパラリンピック・メダリストであり、義肢装具士でもある方です。
ちょうどその時、このまま自分が義肢装具士になるのか、車いすフェンシングの選手としてやっていくのかを悩んでいました。
山本選手に相談をしたところ「義肢装具士はいつでもできる。今しかやれない競技生活をした方がいいんじゃないか」とアドバイスしていただき、競技生活を続けながら働ける会社を探すことにしたんです。

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なかには、毎日朝から練習だけしていれば、一定額の給与が支給されるというアスリート支援をしてくれる会社もあります。
ですが、働くことは当然のことと考えている私にとって、ヤフーの「障がい者アスリート制度」の内容は、まず働いた上で、それ以外の時間に練習をする、という勤務スタイルがとても魅力的でした。ヤフーが障がい者アスリートのスキル習得や競技生活を支援していくという姿勢に強くひかれましたし、面接の時に社員の方と話して、ヤフーという会社が大好きになってしまったんです(^^

ヤフーでは人事という、これまでやったことのない新しい仕事に就きましたが、私は人が好きで、人と接する仕事が向いていると思っていたこともあり、やりがいを感じています。もともと、義肢装具士になりたいと思ったのも、障がいをもっている人たちを支えていくことが自分にとって喜びだということが理由でした。
人事の仕事を通じて、今後は障がい者採用などに関わっていけたら。これからも「人が好き」という気持ちで仕事をしていきたいです。

入社直後は、この会社独自の用語やインターネット関連の用語がわからないことも多く、議事録を作成する時など最初は少し大変でした。今は目の前にある仕事をしっかりやりつつ、少しでもスピードアップし、いずれは仕事の面でもしっかり実力をつけていきたいです。

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フェンシングと仕事、どちらも限られた時間の中で成果を出さなければならないという難しさ

-  限られた時間のなかで効率よく働くために工夫していることはありますか?

いつもパソコンを持ち歩いていて、練習の合間に少しでも時間があいたらタイピングの練習をしたり、わからない言葉を調べたりしています。練習場に向かう電車の中でも、仕事に関係する本を読んでいます。
毎日13時に勤務を終えてから夜遅くまで練習をする生活が大変と感じることもありますが、会社のみんなも夜まで仕事をしていると思うと、私も頑張れるんです。仲間の顔を思い出すと、力が湧いてきます。

私は練習だけに集中していられる選手とは違う生活を選んでいるので、毎日限られた時間でいかに仕事も練習も集中してやるかがとても大切だと思っています。
今はまだ、仕事の生産性が他の社員に比べて足りないので、このままではいけない! という焦りが常にありますし、同じ焦りをフェンシングに対しても感じています。

でも、仕事とフェンシング、どちらも限られた時間の中で成果を出さなければならないという難しさを乗り越えることができたら、一皮むけるのかな? と思っています。しばらくはバランスを探しながら模索していきたいです。

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親子の交流だった剣道、そしてフェンシングへの思い

-  フェンシングの一番の魅力、そして、今後の目標を教えてください。

私の父親が剣道をやっていたので、子どものころ一緒に剣道の練習をするのが親子の交流でした。親子でやるキャッチボールにあたるものが、私にとっては剣道だったんです。友だちとも剣道を通じて交流してきたので、その時の思いも、フェンシングに通じているのかなと思います。
フェンシングは、終わってから握手をしたり、剣を交わしたりすることで相手の選手との会話ができていると思っていて、そういうところも魅力です。

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目標はもちろん、2020年の東京パラリンピックで金メダルを取ることです!
今、私のライバルは、約100人くらい。その中でメダルを取るためには自分との戦いも続けていく必要があります。
とはいえ練習で無理しすぎると、けがにつながってしまうので、4年後に向けて技術的なものだけではなく、体も作っていかなければなりません。メダルを取るためには、この1、2年の間にもっと成長しなくては! という危機感があります。限られた時間で仕事でも競技でも、しっかり結果を出していくためにも、1日でも気を緩められないと思っています。

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(右が加納)

今の日常生活のすべてが、これからの練習や試合へとつながっていくと思っているので、2020年に向けて毎日を大切に過ごしていきたいです。

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【車いすフェンシング豆知識】
車いすフェンシングは「ピスト」と呼ばれる装置に車いすを固定し、競技者の腕の長さに応じて対戦者間の距離を調節し、上半身の動きのみで戦う。

競技について
競技のルール

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(ピストに車いすを固定します)

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(試合の様子)

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(フェンシングには、フルーレ、エペ、サーブルの3種目があり、それぞれルールや使う剣も異なります。左からフルーレ、エペ、サーブル用の剣)

(撮影:今野 大介、堀江 正俊・江口 英樹@Yahoo! JAPAN公式カメラ隊)

【関連リンク】
加納慎太郎公式ブログ
「アスリートとしての夢もヤフーでかなえたい」 アスリート社員として働く(パラバドミントン)
「競技活動と業務経験の両立を支援する」 ヤフーの障がい者アスリート制度