「自治体の枠を越えて災害情報を届ける」ヤフーの災害協定

「自治体の枠を超えて災害情報を届ける」ヤフーの災害協定

2018年は、「大阪北部地震(6月)」、「平成30年7月豪雨」、そして特に被害の大きかった「台風20号」と「台風21号」、9月には台風21号と複合災害となってしまった「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」など、多くの災害が発生しました。

災害発生時には、自治体が発信する情報(被害情報、ライフライン情報、必要物資情報、安否情報、避難勧告、避難指示など)を少しでも広く伝えることが、迅速な避難行動や適切な支援体制につながります。

ヤフーは、各自治体と災害協定を結んで連携することで、災害発生時に自治体から発表される避難勧告・避難指示、自治体によって指定される避難場所情報、そのほかの災害関連情報に、住民がいつでもどこからでもアクセスできるよう集約・整理して提供しています。
この協定の責任者である関口に、ヤフーの災害協定で提供している内容、今後の展望などについて聞きました。

  • ヤフーの災害協定とは? 他の災害協定との違い
  • 自治体の代わりに一人でも多くの方に情報をお届けする
  • 日本のどこにいても、正しい情報が入ってくる世界をつくる

ヤフーの災害協定とは? 他の災害協定との違い

「災害協定」(災害時応援協定)とは、地方公共団体(自治体)間、または自治体と民間事業者または関係機関との間で締結される、災害発生時における応急復旧活動に関する協定です。
この協定を結んでおくことで、災害発生時に協定先から人的支援の提供や物的支援(食料、飲料、衣服、生活必需品など)を受けられます。たとえば、被災地域の地元企業の社員が現地活動をしたり、建設会社が仮設住宅を作ったりなど、実際に「人や物が動く」支援が多いです。
それに対して、ヤフーの災害協定は人や物資による支援ではなく、「自治体からの情報配信」のお手伝いをするという点が大きな違いです。災害協定を締結した自治体数は、2018年11月5日現在で501(全自治体数の約3割)となっています。

この災害協定のきっかけとなったのは、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」です。国(内閣府)、東北地方の自治体から電力会社、鉄道会社などインフラ事業社のウェブサイトなど、震災後にアクセスの集中が見込まれるものを選定してキャッシュし、そのキャッシュサイト(※1)にユーザーを誘導しました。2011年冬にはヤフーの災害協定として自治体と連携させていただくようになりました。
※1:キャッシュサイト:
ヤフーのサーバー上にコピーされたウェブサイト。アクセスの負荷軽減などを目的として提供される

その後、避難情報、避難場所マップへの掲載、Yahoo!防災速報アプリのプッシュ通知などの取り組みを追加し、現在の災害協定の形となっています。
大きな災害が発生した際に検索された「災害時に必要とされた情報」を可視化すると、発災後の時間の経過とともにそのニーズが変わっていったことがわかりました。たとえば、2011年の東日本大震災発生時、被災地での検索上位は自治体のウェブサイトでした。発災2日後には、「〇〇断水」「〇〇給水」など、水道に関する検索が非常に多くなっています。3日後にはガソリンや「〇〇交通」「〇〇バス」などの交通関連、「〇〇風呂」「〇〇銭湯」などの入浴関連のワードが多く検索されました。4日後には「安否確認」やスーパーが多く検索され、ニーズが日々変わることがわかります。

災害発生時には、その地域の自治体が発信する情報や、ライフラインに関する情報が求められます。ですが、それらの情報を発信するウェブサイトが大量のアクセスに耐えられず、閲覧しにくい状況になることが課題となっていました。ヤフーが自治体のキャッシュサイトを用意することで、その課題を解決できるようになりました。

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(災害協定担当の関口)

ヤフーの災害協定で提供している主な内容

1) 自治体からの緊急情報の配信
Yahoo!防災速報アプリを利用し、避難所(※2)の開設情報などの避難情報、災害時の注意喚起などの緊急情報を自治体から直接配信できます。
※2:避難所
災害発生後、避難したり家に戻れなくなったりした住民が一定期間生活をする場所

2)キャッシュサイトによる負荷軽減
自治体が運営するウェブサイトのキャッシュサイトを用意し、ヤフーのサーバー上で表示することで、自治体のウェブサイトにアクセスが集中して閲覧しづらい状況になった場合に備えます。

3)避難場所マップへの掲載
避難場所(※3)情報のデータを提供していただくことで、ヤフーのサービス上で避難場所情報を確認できるようになります。対象の地域に住んでいる方や職場がある方に、普段から災害別の避難場所がどこにあるかを知っていただけるなど、防災意識を高める効果も期待できます。また、気象警報類と連携し災害ごとの避難場所を一覧で表示できます。
※3:避難場所
災害発生時、危険から逃れるためにまず避難する場所

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(ヤフーの検索画面におけるキャッシュサイトへのリンクの例)

自治体の代わりに一人でも多くの方に情報をお届けする

たとえば、街の中にある防災無線を伝えるためのスピーカーは、内容が聞きとりにくかったり、放送が流れても住民が聞いていなかったりすることもあるといわれています。
また、何万件ものメールを一度に送れるシステムを自治体が用意することは難しく、分割して送信するため遅延が発生する可能性があります。ヤフーの仕組みを使うことで、同時に多くのユーザーに対して情報発信が可能です。

また、その地域に住んでいる人に対しては、事前に登録していればメールなどで情報発信できますが、観光客や出張で来ている人など、普段その地域で生活していない人への情報発信は難しいです。しかし、ヤフーと災害協定を結んでいただくことで、位置情報を利用して、そのような人たちにも必要な情報を伝えることができます。

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(自治体からの通知例)

日本のどこにいても、正しい情報が入ってくる世界をつくる

もちろん、災害が発生しないことが一番なのですが、災害が起きてしまったときに「(地域の住民に)通知ができてよかった」というフィードバックを、協定を結んでいる自治体からいただいたときはうれしいです。
「平成30年7月豪雨」の被害があった広島県とは、協定を結んで避難場所の情報を掲載した直後に豪雨が発生したのですが、協定を結んでいなければ「(避難場所の)データがありません」と表示され、住民の方が避難場所を探すことが難しかったかもしれません。それを防げて本当によかったと思いました。

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(広島県広島市安佐北区付近の避難場所)

広域での情報配信を実現する必要があります。人は移動しますので一カ所からだけの情報では足りません。ヤフーが災害協定を通じて自治体からの情報を集約・整理し提供することで、日本中どこへ移動しても常に必要とされる情報が受け取れるようにしたいと思っています。

たとえば、東京都・品川駅で大きな災害が発生したとして、つい品川区の情報を見てしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか? ですが、品川駅は「港区」にあるので、港区のページを確認する必要があります。そのようなときも、位置情報を利用していれば、自分がいる場所である品川駅、つまり港区の情報が届きます。移動するたびに調べるのではなく、ヤフーへアクセスしていれば一つのページで必要な情報が見られるような、自治体の枠を越えた情報発信の実現こそ、ヤフーが災害協定に取り組む意義だと考えています。

そして、どれだけ災害情報を「早く広く正しく」届けたとしても、避難するかどうか行動を決めるのはその人です。たとえば、台風の場合は雨が降り始めてしまったら逃げられないことがあります。「避難準備」の段階から、高齢者や体が丈夫ではない方に逃げるよう自治体からアナウンスしてもらうなど、それぞれの人にとって適切なタイミングで逃げてもらうために、自治体に配信を強化してもらうような働きかけも今後は行っていきたいですね。

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