視覚障がい者へのサポート「聞こえる選挙」

視覚障がい者へのサポート「聞こえる選挙」

現在、視覚障がい者の方の91.7%がインターネットを利用しており(※1)、音声による画面読み上げソフトを使用して情報を取得している方もいます。

今回は、視覚障がいのある方がどのように生活し、インターネットを利用して情報収集しているのか、その際にどのような課題を抱えているのかを、ヤフーで働く視覚障がい者の社員に聞きました。

「網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう )という進行性の病気に罹患(りかん)しています。この病気は非常にゆっくり進行するもので、最初は夜や薄暗い室内でものが見えにくくなり、その後徐々に視野が狭くなっていくという症状で、30歳直前で発症しました。

低視力によって生活に大きく困ることはありませんが、たとえば自宅で料理をするときに、白いまな板の上に置いた大根がどこにあるのかわからないことがあります。また、外食のメニューが見づらいため、スマホのカメラを利用した拡大機能で文字を読んでいます。
洋服の値札やサイズはかなり見づらいため、試着は鏡での見た目のチェックよりもサイズが合っているかどうかのフィット感のチェックが中心です。
会計をする際、小銭の判別もつきにくいので、代金を支払ったつもりが実は不足していて、レジの人と気まずい空気になってしまうこともありました…。
また、エレベーターに乗るときは上に行くのか下に行くのか、今何階に止まっているのかがわからず、最上階まで行ってしまうことがあるので、数階程度の移動であれば階段を選びます。
ラジオやテレビで情報収集はできますが、知りたい情報を詳しく調べたい場合には、パソコンとスマホがかなり有用なため、画面を拡大し、顔を近づけて利用しています」

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(スマホを操作する様子)

「文字が細い、そして色が薄いと、読みづらいため、たとえば年末調整の書類などはかなり読みづらいです。また、選挙のときに候補者の氏名、経歴や政見を掲載している資料である「選挙公報」も読みづらいもののひとつです。

選挙管理委員会により配布される選挙公報は、候補者ごとにバラバラのフォーマットで、縦書き・横書きも候補者によって異なります。さらに文字サイズが小さく文字量が多いので、ちょっと読んだだけで疲れてしまいます。読み上げてもらえれば音声で情報収集できるかもしれません」

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(2017年 第48回衆議院議員総選挙で配布された選挙公報の一例)

選挙公報は紙だけでなく、各都道府県の選挙管理委員会のサイトからPDF形式のデータをダウンロードできますが、このPDFデータからは文字情報は削除され、画像として保存されているため、パソコンなどの読み上げ機能を利用できません。そのため、全国に10万人以上いる視覚障がい1級(※2)の方が、インターネット上の選挙公報から情報を取得することが難しいという課題があります。

視覚障がい者の選挙情報の取得

Yahoo! JAPANが実施した、視覚障がい者の方の選挙情報の取得に関するアンケートの結果、6割以上の方が投票に積極的でした。一方、投票に積極的ではなかった方からは、
「立候補者の情報や投票会場がわからなかったことがある」
「選挙立候補者の情報がないので、投票意欲がわかない」
などの意見がありました。

選挙に関する情報の提供方法については、
「ネットで選挙の情報を知りたいが、選挙に関する情報を簡単に調べられるサイトがない」
「自治体によっては点字の情報がないところもあるが、基本的に全ての選挙で健常者と同じ情報が得られるようにする必要があると思う」
といった、インターネットで情報を取得したいという要望や、現状の情報取得の格差に対する不満の声が見受けられました。

多くの視覚障がい者にとって情報収集の有用な手段であるパソコンとスマホにおいて、最適な方法で選挙情報を提供するため、Yahoo! JAPANでは2017年10月の衆院選の際、「聞こえる選挙」サイトを公開しました。
「聞こえる選挙」はパソコンの読み上げソフトに対応したサイトで、衆院選の立候補者のプロフィールをはじめ、東京都の小選挙区立候補者の政策、各政党のマニフェスト、開票結果を掲載。画面読み上げソフトで操作しやすく、情報が伝わりやすい構成にしました。
この取り組みは、2017年7月の東京都議会議員選挙に続いて2回目で、国政選挙では初めてとなります。

次の大きな選挙は2019年の参院選です。ヤフーは次回もこの取り組みを行い、視覚障がい者の方が選挙情報を収集しやすい環境づくりの一助となることを目指します。

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(2017年衆院選のために開設された「聞こえる選挙」)

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(「聞こえる選挙」PJメンバー:写真左から、北門、森、皆川、渡辺、安田)

文/安田 健志
写真・編集/Yahoo! JAPANコーポレートブログ編集部

【関連サイト】
※1:平成24年 障がいのある方々のインターネット等の利用に関する調査研究(総務省 情報通信政策研究所 調査研究部)
※2:平成23年 生活のしづらさなどに関する調査(厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部)
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