4年目の「ツール・ド・東北」、地方創生のステージへ

4年目の「ツール・ド・東北」、地方創生のステージへ

東日本大震災の復興支援および震災の記憶を未来に残していくことを目的に、Yahoo! JAPANが河北新報社とともに主催する自転車イベント「ツール・ド・東北」。

今年4年目となるツール・ド・東北 2016は、9月17日と18日の2日間にわたって、新設コースも加えるなど規模を拡大して開催。約3,700人の参加ライダーが、大会の舞台となる宮城県沿岸部を駆け抜けます。

今大会よりツール・ド・東北事務局長を務めるYahoo! JAPANの足達に、大会4年目を迎えるにあたっての手ごたえ、大会が目指す今後のあり方について聞きました。

「ツール・ド・東北」 とは
宮城県沿岸部を舞台とする自転車イベントとして、2013年にYahoo! JAPANと河北新報社の共同主催でスタート。
実際に被災地を訪れ、自ら自転車で走ることで、東北の魅力や現状、復興への道のりを感じていただくイベント。順位やタイムを競うレース形式ではなく、地元の方々とコミュニケーションをとり、景色を楽しみながら走ることを目的としたファンライド形式で開催。 

被災地に年中人々が訪れる「サイクルツーリズム」を応援


- ツール・ド・東北は今年で4年目を迎えます。震災復興を目的にしたイベントとして、過去の大会を通じてどのような手ごたえを感じていますか?

おかげさまで大会として大きく成長することができました。参加者の応募倍率も高く、大会後の参加者アンケートでも3年連続で98%の方々に「来年も参加したい」とご回答いただいています。
開催地である宮城県石巻市でも、地元として積極的に参加者のおもてなしをしたいと、今年、ツール・ド・東北をサポートするための実行委員会ができました。このような地元の方々による後押しは、事務局として大変心強く思っています。

また、開催地付近では震災以前はロードバイクで走る人の姿をあまり見かけなかったそうですが、この大会をきっかけに走る人が増え、地元の自転車ショップでもロードバイクが売れるようになった、と自治体の方々より伺っています。

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(2015年大会スタート時の様子。メイン会場の石巻専修大学にて)

- テーマに「東北の新しい魅力を発見」を掲げる今大会のねらいについて教えてください。

昨年の第3回大会までは、大会を軌道に乗せるため、事務局としてもとにかく突っ走ってきた3年間でした。
しかし、震災から5年、現地の「復旧」はどんどん進んでいますが、これからのステージで大切なのは「復興」です。そこで、大会としてこれからは、サイクルツーリズムで地方創生を目指す宮城県を応援したいと考えるようになりました。

広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」には年間約30万人のレンタサイクル利用者が集まるといわれています。
ツール・ド・東北は、年に一度、全国から人を集めるイベントという点では成功していますが、地元の真の復興のためには、一年中、宮城県に人が訪れるサイクルツーリズムを根付かせたいと思っています。

- 今大会では牡鹿半島を舞台とするコースも新設されます。なぜ牡鹿半島を選んだのでしょうか?

太平洋に向かって突き出した牡鹿半島は、ほぼ全域が山地で、また太平洋のパノラマ絶景も楽しめる、豊かな自然に恵まれた場所です。

実はこの牡鹿半島を新たなコースとして選んだのは、われわれ事務局側ではなく、石巻市の意志によるものです。
「牡鹿半島は復興が最も遅れている地域。ここに光を当てたい」と、地元の自治体の方々自らご提案いただきました。

地元のみなさんとともに歩んでいくサイクルツーリズム元年として、この牡鹿半島のコースはまさに象徴的な存在だと考えています。 

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(2016年大会で新設される牡鹿半島のコース)

- 一方、震災から5年、大会を継続していく上での課題はありますか?

年々震災への関心が薄まってきている、というのは、この大会を運営する上でも実感しています。
ツール・ド・東北は参加ライダーの大会参加費と協賛金のみで運営しています。震災の風化によって、今年は、大会を継続運営するという点においては、今まで以上に厳しい状況を経験しました。
おかげさまで、最終的には、協賛金ももちろんですが、飲料や機材、資材の無償提供や、ボランティアで協力いただく著名人の方々や地元のみなさんなど、たくさんの方々に大会運営を支えていただけることになりました。

震災の記憶を残していくためにも、この大会を続けていかないといけない、と改めて強く思っています。

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(2015年大会でのコース沿道の様子。参加ライダーと地元の方々の触れ合いも大会テーマのひとつです)

- 実際に大会運営をおこなうのは、主催社であるYahoo! JAPANと河北新報社の社員になるのですね。

はい、運営体制についてお話しするとよく驚かれるのですが、代理店などは介さずに、すべてこの二社の社員で運営しています。

河北新報社は約120年の歴史を誇る宮城県の新聞社です。
一方、Yahoo! JAPANは設立20年のインターネット企業、100年歴史が違います(笑)
しかし、この4年間で文化の違いも乗り越え、お互いリスペクトし合い、刺激し合いながら、強固な信頼関係を築いてきました。

現地での絶大な信頼を得ている河北新報社のおかげで、私たちのような東京を基点とする企業では到底得られないような、地元の方からのご理解、ご協力をいただいています。

また、震災の記憶を伝えるという意味で、メディア企業である二社が一緒にタッグを組んでこのイベントを発信していくことの意義もあると思っています。

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(河北新報社の大会事務局の中島氏(左)、渡辺氏(右)と。両社の社員は定期的に東京と仙台を行き交うほか、オンラインでも日々打ち合わせを行っています)

- ツール・ド・東北の今後の展望を聞かせてください。

ツール・ド・東北は、最低でも10年続く大会にしよう、という目標を掲げてスタートしました。
先程もお伝えしたとおり、この大会は、Yahoo! JAPANおよび河北新報社がスポンサーとなっているわけではなく、参加ライダーの大会参加費と協賛金で運営されています。これには意味があり、地元にしっかり根付き、継続していける大会にするためには、大会自体で利益を生み出せるものにしていかないといけない、と考えているからです。

今回石巻市の意志で新設された牡鹿半島のコースをはじめ、年々地元のみなさんと私たち運営側の思いが重なってきている気がしています。

今後も、官民一体となって連携し、真の復興につながるような大会を目指していきたいと思っています。

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(今春、Yahoo! JAPANの大会事務局には、新卒メンバーも新たに加わりパワーアップ。左が斉藤、右が武田)