「憧れオトナ女子」「気持ちだけアクティブシニア」? データ分析で日本の傾向がわかる

「憧れオトナ女子」「気持ちだけアクティブシニア」? データ分析で日本の傾向がわかる

みなさんは、Yahoo! JAPANのアプリやサイトに表示される広告を一度は目にしたことがあるかと思います。時にはそれらを見て「どうして私が30代女性だってわかるの?」「私が好きな服のブランドの広告がなぜ出ているの?」などと不思議に思うこともあるかもしれませんね。
そのような広告を、ユーザーにとってより「役に立つ情報」にするために日々改善を重ねているという、マーケティングソリューションカンパニーのみなさんにお話を聞きました。
(左から、勝野、江森、後藤)

-ユーザーひとりひとりに合った広告を出すためには「クラスタ」というものが重要だとお聞きしました。この 「クラスタ」とは、どのようなものなのでしょうか。

後藤:
「クラスタ」は、もともとの語源は「集団」「群れ」で、データ分析用語では「似た特性を持つ人を分類したもの」というような意味になります。また、似た属性や性質をもっている人たちをデータ分析のさまざまな手法を用いて分類し、まとめることを「クラスタリング」といいます。 
クラスタリングする時にはユーザーアンケートや、Yahoo! JAPANのサービスへのアクセスログ、検索データなどを使っています。

- 今回、シニア層を対象にした「アクティブシニアクラスタ」のクラスタリングを重点的に行ったのはなぜですか?

勝野:
これまで、たとえば60歳以上を「シニア層」と決めて、その層を特定して広告配信することはできていました。
ですが、年齢だけでは語ることができない深い要望や、好き嫌いなどをもっと具体的に知った上で、本当にユーザーにとって価値のある広告配信をしたい、と思ったんです。

後藤:
また、今回「化粧品クラスタ」も作成しました。こちらも、女性の価値観を深く知ることを目的にクラスタリングを行いました。
ユーザーの今現在の興味や関心などは、検索ワードやサイトの使われ方によって、ある程度知ることができます。
ですが、もっと根底にある価値観、たとえば「これからこういう生き方をしたい」から、「こういう商品を買いたい」という気持ちは、数年くらいは変わらないのではないかと思い、価値観で分けてみることにしたんです。

勝野:
女性の場合、読む雑誌ひとつとってみても「non・no」系、「VOGUE」系など、それぞれによって、使う化粧品や服装などがかなり違うんですよね。

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-ちなみに 「アクティブシニア」とは、どのような人のことを言うのでしょうか?

後藤:
「自分なりの価値観を持っていて、自分らしい生き方をするためにお金を使って日々を楽しんでいる」という人をアクティブシニアとしています。
お金の使い方はそれぞれで、アウトドアを楽しんだり、旅行に行ったり、スポーツ用品を買ったり。また、自分や家族、孫の将来に備えて貯蓄や投資をする、という方もアクティブシニアに位置づけられると思っています。 

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- 今回、アクティブシニアの中でさらにタイプ分けをしたそうですが、具体的にはどのようにタイプ分けをしたのですか?

後藤:
今回は、約5,000人の方にアンケートを実施し、どんな生き方をしたいか、どんなものが好きか、どんなものを使っているか、などを聞きました。

そこで集まったデータを分析し、いろいろなクラスタリングを試した結果、

  1. 使いきり型アクティブシニア
  2. 生活維持優先シニア
  3. 気持ちだけアクティブ
  4. 将来の備え重視シニア
  5. 金キラ系アクティブシニア
  6. インテリアクティブシニア
  7. 隠居生活シニア

これらの7つのグループに分けることができました。その結果を勝野さんや江森さんに共有して、Yahoo! JAPANのデータのアクセスログや検索のデータなどとあわせて分析をお願いしました。

勝野:
アンケート結果を、Yahoo! JAPANのユーザーの動き(=アクセスログ)で再現することを目的に分析しました。
アンケート結果は数に限りがありますが、結果をクラスタリングしたものを、Yahoo! JAPANのアクセスデータで再現することで、さらに市場に広げていくようなことができるんです。

後藤:
私たちが分けた価値観の項目が本当に合っているかを、Yahoo! JAPANを使っているユーザーの実際の行動データをもとに分析することで確認する、という感じでしょうか。

今回、アクティブシニアを7タイプに分けたのですが、それぞれのタイプについて、
1) アンケート結果やサービスの使い方はこうだったという定量データからの視点
2) 身近にいる似たタイプのシニアはこんな人物でこんな行動をしているという定性的な視点
この2つの視点から、このタイプの人はおそらくこういう価値観で生活している人なのでは……と類推して、具体的な人物像にまで落とし込んでいきました。

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江森:
さらに、ユーザーひとりひとりがこれら7つのタイプの中でどれに近いかを、検索結果などの行動データをもとに調べました。
その上で、この人は「生活維持優先シニア」に近い、この人は「金キラ系アクティブシニア」に近いなどと分類していく作業を担当しました。この時、どのタイプにも該当しなさそうな人は除き、本当にそれぞれのタイプに近いと予想される人だけを集めました。 

後藤:
そのようにして分類した結果「気持ちだけアクティブシニア」が一番多かったんです。
どのような人たちかというと、アクティブに日々を楽しみたい気持ちはあるけれど、まだ行動にはあらわれていない人たち、というイメージです。実際、アンケート結果でも、あまり外出しないとか、趣味活動に関連するようなデータが少ないということがわかりました。

勝野:
Yahoo! JAPANのユーザーは、インターネット利用人口のなかで比較的平均的な使い方をしている方が多い(※)ので、今回のように利用データを分析することで、日本のユーザーが今どのような傾向かを推測できるのではないかと思っています。

たとえば、「生活維持型アクティブシニア」が増えてきたら日本の景気が心配になる、とか(笑)

(※)
TOPS OF 2015: DIGITAL IN JAPAN ~ニールセン2015年 日本のインターネットサービス利用者数ランキングを発表~
圧倒的なページビューと幅広いユーザー層(Yahoo!マーケティングソリューション)

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- クラスタリングの作業で苦労したことはありますか?

後藤:
アンケート結果から、「アクティブシニア」を7パターンに分けると決めるまでもかなり悩みました。

8パターンだとちょっとぼやっとしていたり、6だと少し足りない感じがしたり。何度も検討しましたね。

江森:
私は、男性なので、女性の化粧品や雑誌などに詳しくないため、化粧品のクラスタリング作業をした時はつらかったです……何を言っているかさっぱりわかりませんでした(^^
女性のクラスタリング作業の時は、「この人をこのグループに分けていいのか」と何度も周囲の人たちに確認しました。

後藤:
たしかに、「ガーリー」「キラキラ」「個性派」女子と言われても江森さんにはイメージがしにくかったと思います(笑)

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- 今後、クラスタリングを使って挑戦したいことを教えてください!

後藤:
一度調べた特定ユーザー層の行動について、ライフステージが変わったら価値観がどのように変化するのかを、少し長期的に追ってみたいと思っています。

たとえば、「キラキラ女子」が結婚して出産したら、アクティブシニアのこのグループに移動したとか、こういうタイプの女性は何%がこのグループに移動する、など、女性の生き方を予測するようなことができるかもしれないと。

また、まだ30~40代の男性クラスタはできていないので、それもやってみたいです。
いつか、こういう価値観のYahoo! JAPANユーザーは「金キラ系アクティブシニア」になる、というような仮説をたてられたらいいですね(^^

江森:

私も、たとえば「キラキラ女子」はいずれ「金キラ系アクティブシニア」になりそうだ、などのパターンを見つけることができたら、「キラキラ女子」グループに分類されたユーザーに「金キラ系アクティブシニア」向けの広告を少しずつ表示することで、自然に次の年代のステージに向かってもらえるようになるのはないかと思っています。

また、今後は別の年代、性別などのクラスタを要望されても、すぐに分析できるような仕組みづくりにも取り組んでいきたいです。

勝野:
今後は、広告主の持つデータと組み合わせることで、最適なクラスタをこちらから提案し、ユーザーにとって価値のある広告を一緒に考えていきたいと思っています。 

また、ユーザーがスマホなどを「どこで利用しているか」にも注目していきたいです。
たとえば、通勤途中にスマホをどのような使い方をしているかがデータからわかれば、「移動中の時間帯にはこういう広告を出そう」など、サービスでも計画を立てやすくなるのではないかと。

広告がユーザーにとって「邪魔なもの」ではなく、「役立つ情報」のひとつになっていくことを目指して、今後も改善を続けていきたいです!

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