【Yahoo!基金「助成金」の使われ方】「土佐の森・救援隊」編

【Yahoo!基金「助成金」の使われ方】「土佐の森・救援隊」編

Yahoo!基金担当の田村です。Yahoo!基金では2016年1月より、東日本大震災の復興支援に取り組む非営利団体を支援する新たな助成事業を始めました。
今回はその助成先の一つ、高知県日高村を拠点とする特定非営利活動法人「土佐の森・救援隊」の活動についてご紹介します。


(「土佐の森・救援隊」による岩手県北上市での自伐型林業研修の様子)

「自伐型林業」をご存じですか?

自伐型林業とは、簡単に言うと、森林組合などの大規模事業者ではなく、地域住民や森林所有者たちが木の伐採や運搬を行う林業経営のことです。
この自伐型林業は、地域での収入源を増やすことで、若い人の定住にもつなげられるなど、地域創生の有効な手段の一つと考えられています。

今回ご紹介する「土佐の森・救援隊」は、この自伐型林業をおこなっている団体になります。

「土佐の森・救援隊」による東日本大震災の復興支援活動

そもそも高知県を活動拠点とする「土佐の森・救援隊」の方々がなぜ東日本大震災の復興支援に取り組むことになったのでしょうか。

「土佐の森・救援隊」の方々は、阪神淡路大震災を経験しました。東日本大震災が起こった時、何か支援の行動をしたいと思い立ち、縁あって、津波の被害が甚大だったといわれる岩手県大槌町での支援をはじめることになったそうです。

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「土佐の森・救援隊」を助成先に決めた理由

被災地の復興には、その地域で人々が安心して生活できることが前提です。そのために、わたしたちYahoo!基金は、生活基盤を整えるための仕事=「生業(なりわい)」のサポートをする「なりわい支援」をしたいと常々考えていました。

そんなときに「土佐の森・救援隊」からの助成金の応募を受けました。

「土佐の森・救援隊」は、先ほども述べたとおり、自伐型林業を実践、推進する団体です。「土佐の森方式」と呼ばれる自伐型林業を確立し、地域に根ざした仕組みを展開しており、全国各地40カ所以上への自伐型林業の推進実績があります。
また、地元の高知県日高村では、この団体の活動を手伝った方々に「モリ券」という地元商店街で使える地域通貨券を配布する取り組みも実施しているそうです。

「自分たちで地元の森を管理して、その収益を地元に還元する」という循環モデルが素晴らしく、東北の被災地にもこのモデルを導入できないかと思い、「土佐の森・救援隊」が行う林業未経験者を対象とした自伐型林業研修を助成金で支援することに決定しました。

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自伐型林業の研修をレポート

2016年3月、「土佐の森・救援隊」が岩手県北上市でおこなった自伐型林業の研修に参加してみました。その様子をレポートします。

自伐型林業研修は、以下の3つのパートで構成されていました。

  1. チェーンソー取扱・伐倒、森林経営研修
  2. 伐倒・搬出研修
  3. 作業道敷設・森林経営研修

1つのパートで2日間、全パート合計で6日間の研修となりました。

私が参加したのは、1つめのチェーンソー取扱・伐倒研修でした。
1日目は座学で森林でのルールや安全管理、チェーンソーを使う際の注意点を学び、2日目は実習で実際に木の伐採などをおこないました。

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(座学の研修の様子)

座学研修では、講師の方が、安全管理上の注意点やチェーンソーの使い方、手入れ方法について、実機を分解しながら丁寧に説明してくれました。
実習研修では、木を切る際に、どちらの方向に倒すのかを決めて、倒したい方向に倒れるように切る方法も学びました。方向を誤って、切った木が自分の上に倒れてきたら大事故になってしまいます。
山で作業する際の数々の注意事項について、講師の方々が自身の経験を交えて説明してくれました。生まれて初めてチェンソーを持った私でも、伐採の際に何を注意すればいいのかが、よく分かりました。

一緒に研修に参加した人の中には、「以前、別の団体の研修にも出たことがあるけれど、安全管理について話すだけのものだった。こんなに内容の濃い研修ははじめてだ」とおっしゃる方もいました。

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参加者は40名ほどで、男性が多かったですが、女性も数名いらっしゃいました。年齢も若い方から、年配の方までさまざまです。自分で山林を所有している方や、副業として林業を考えている方など、参加者の方のバックグラウンドも多岐にわたっていました。

一部の方に参加理由をお聞きすると、「地元の子どもたちのために美しい里山をつくりたい」「町おこしのために自伐型林業を導入したい」「農業だけでは先細りだから林業も取り入れたい」と、みなさん答えてくれました。

実際に、自伐型林業をどのように収益化していくかは、その地域や山の状況によって異なります。薪(まき)や炭にして販売するほか、岩手県北上市近辺では製紙会社が 木材を購入してくれるケースもあるそうです。 

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山が豊かになると、栄養分を多く含んだ水が川を通じて海に運ばれ、海も豊かになります。
また、薪や炭をつくることで、地元に新たな産業ができます。

海での漁業などの仕事だけではなく、山での林業の仕事もあることで、収入源が増えて、生活基盤が強化されます。被災者の方が安心して生活できる環境をつくるために、自伐型林業は大きく貢献できると実感できました。

【関連リンク】
特定非営利活動法人「土佐の森・救援隊」
特定非営利活動法人「自伐型林業推進協会」 
森林・林業学習館 日本の林業の現状