【ヤフー基金「助成金」の使われ方】Cocoro Care for Children編

【ヤフー基金「助成金」の使われ方】Cocoro Care for Children編


Yahoo!基金で事務局を務める田村です。Yahoo!基金は、ヤフーが2006年に設立した任意団体で、災害復興支援やNPO支援などの活動を行っています。昨年9月から災害復興支援活動の一環として、東日本大震災の復興支援に取り組む非営利団体を支援する新たな助成事業を始めました。

今回はその助成先の一つ、福島県いわき市や飯舘村で子どもと保護者の心のケアなどを行っている「Cocoro Care for Children」の活動を取材してきました。

福島県・飯舘村は、「日本で最も美しい村」に選ばれるような日本の原風景が残る村。その生活文化は、手間暇惜しまず、丁寧に、心を込めて、相手を思いやる“までい”と呼ばれ、未来永劫に残したいとまで言われていたそうです。
東日本大震災発生時は大きな揺れに襲われたものの被害は小さく、震災直後には、隣接する地域からの避難者へ炊き出しをつくるなどして、受け入れていました。
しかしその後、村のほとんどが福島第一原発から30キロ圏の外に位置しているにもかかわらず、土壌の放射線量の高さから当時「計画的避難区域」に指定され、村は全村避難することになりました。現在でも、村の約半数の方が福島市内に避難していらっしゃるそうです。

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(震災前の福島県・飯舘村の様子。写真提供:いいたてネットワーク)

Cocoro Care for Childrenの活動とは?

Cocoro Care for Children(以下CCC)は、飯舘村で子どもとその保護者の心のケア活動をしています。小児科医などの医療関係者が中心となって立ち上げた団体なので、専門家の立場からのサポートもできる団体です。
「飯舘村の大人たちは、本人の意思とは関係なく、住み慣れた故郷を離れた場所で暮らしています。子どもの心は親の心を映す鏡、親の不安やストレスは、子どもの心に影響を与えます。そのために、子どものケアだけではなく、親のケアも必要なんです」とCCCの精神科医・井上さんは話します。

具体的なケアは、村の方々との連携プレーで行っています。村の幼稚園の先生や保健師さんが日常的に子どもの様子をみて、気になる点があればふれあい集会のようなイベント時などに、CCCのところに行くよう促します。
イベント時、CCCのブースには子どものおもちゃやスポーツインストラクター、名札づくりの名人の方など、子どもを楽しませるプロの方がそろっています。一般的な病院のように対面に座って話を聞くのではなく、子どもが遊ぶ様子を小児科医が観察し、徐々に子どもとの距離を縮めながら、反応をみていく方法をとっているそうです。

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ボランティアで集まった医師たち

CCCの活動を中心になって行っているのは長崎県在住の小児科医・出口さん。なぜ長崎から遠く離れた福島県・飯舘村で活動するようになったのでしょうか。

「一緒に活動している内科医の佐藤さんがもともと大学の同級生なんです。彼は福島県出身なので、震災直後にいわき市に入り医師として救急救命活動していました。気になって電話したところ、人手が足らないくて大変だ、と伝えられ長崎から応援に駆けつけました」(出口さん)

出口さんらは、しばらくはいわき市で活動を続けたそうですが、飯舘村にはもともと小児科医がいなかった関係から飯舘村の応援に駆けつけ、2012年から今の活動を開始されたそうです。
その後、知り合いの医師や子どもに関わる専門家などに声をかけ、いまでは9人のメンバーで活動を続けています。

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CCCが活動を続ける理由

CCCのメンバーが手弁当でこの活動を続けているその原動力は何なのでしょうか。

「1度来たら、あの子はどうなっただろうと気になるし、何度か訪問しているうちに、飯舘村のみなさんに会うのが楽しみになった。支援しているのではなく、故郷に戻ってきているような気持になるのです」(出口さん)

これって、まさに飯館村の“までい”の精神なのではないでしょうか。

「アメリカでボランティアは、背伸びしない自分でできる範囲で行わないと長くは続けられないと学びました。自分は医師なので、そのスキルを使って、できることをしています。他の仕事をしていたら、その仕事のスキルでできることをすると思います。あと何より、放射能の問題は、20年、30年先でしか分からない問題。飯館の子どもたちが背負っていくであろう問題が、少しでも軽くなるようにできることをしていきたい」(佐藤さん)

できることをできる範囲でしているだけと謙虚におっしゃっていましたが、佐藤さんの言葉からは熱い思いが伝わってきました。

取材を終えて

Yahoo!基金がCCCに助成を決めたポイントは、全国的に推奨されている発達障害の早期発見のための5歳時健診が飯舘村では対応できておらず、この団体の医師たちが実施している点でした。
取材で現地を訪れ、彼らの取り組みが単なる医師の活動にとどまらず、子どもから大人までのケアを飯舘村の一員として行っていることがわかり、とても温かい気持ちになりました。

【関連リンク】
Cocoro Care for Children
Yahoo!基金