世界最速で成長している中国・深セン(しんせん)の最新ITサービスとは

世界最速で成長している中国・深セン(しんせん)の最新ITサービスとは

「深セン」は中国南東部に位置し、中国の本土と香港を結ぶ都市。
約30年で人口が30万人から1400万人に増加するなど、猛スピードで発展したことでも注目されているそうです。現在も中国全土から若者が集まり、65歳以上の高齢者は2%しかいないことも特徴です。ちなみに、日本の全人口に占める65歳以上の割合は27.7%(総務省/2017年)です。

また、深センでは微信支付 (ウィーチャットペイ・WeChat Pay) 、支付宝(アリペイ・Alipay)のような電子マネー決済の利用が日本より進んでいて、市内のほぼすべての店で使用が可能です。
アメリカのシリコンバレーのように、ITベンチャーは一つの地域で集中的に起業する傾向があるといわれています。深センもそのような地域ですが、「深センでの1週間はシリコンバレーでの1カ月」という人もいるほど、スピード感のある都市でもあります。

過去の歴史に縛られず、猛スピードで変化を遂げ「中国のシリコンバレー」ともいわれている深セン。この都市でのネット利用を知るべく、ヤフーのコラボレーションスペース「LODGE」のメンバーが現地で体験してきました。その様子をレポート形式でご紹介します。

  • モバイルペイメント
  • シェアサイクル
  • 無人コンビニ
  • 深センはなぜ、起業しやすい環境なのか

モバイルペイメント

中国では、現金を全く持っていなくても日常生活に困らないほどスマホを使った支払いサービスが普及していました。
そのスマホ支払いサービスを提供している大手が「ウィーチャットペイ」と 「アリペイ」 。街中の至るところで、この2つ会社のロゴが目につきました。

どちらも使い方は、非常に簡単です。たとえば、コンビニで支払いをしたいときは、

1)店員さんに「ウィーチャットペイ」または「アリペイ」と伝える
2)自分のスマホのアプリでバーコードを表示させる
3)店員さんがそれをバーコードスキャナーで読み取る


支払い金額が即座に引き落とされ、支払いが完了!

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アリペイとウィーチャットペイは、レジのない屋台でも利用できました。

1)店舗が印刷したバーコードをレジのあたりに掲示しているので、それを自分のスマホで読み取る
2)スマホに金額、パスワードを入力して送金する
3)店舗のスマホに送金の通知が届き、支払いが完了

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実際にやりとりをすると、あまりに自然に対応してくれることに驚きます。
お店への支払いだけではなく、同行メンバーと後で割り勘をする際のやり取りにも便利でした!

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(アプリ内のチャットでお金のやり取りが可能)

シェアサイクル

中国のシェアリングサービスの象徴ともいわれる、シェアサイクル。深センでは駅から徒歩だと20分以上かかる場所にも広大なテクノロジー関連の施設が誕生しており、そこへのアクセスには自転車やタクシーの利用が必須です。

最寄駅の近くでは、さまざまな会社のシェア自転車を見かけました。いずれもスマホアプリで解錠や決済ができます。ただ、壊れている自転車がけっこうあるので、利用するときには要注意です。
また深セン市内には工事中の道路が多かったり、車線数の多い道路があったりして横断できないときもあるので、ルート選びは難しいです。

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(街中に乗り捨てられている自転車)

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シェアリングサービスに関して、自転車以外のシェアリングもいくつか目にしました。カフェや美術館といった長居しそうな場所にはモバイルバッテリーのステーションがあり、何度か地元の方が利用しているところを見かけました。また、このバッテリーは一定の金額を支払うと買い取りになり、返却不要とのことでした。

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(モバイルバッテリー)

意外なものとして、傘のシェアリングがありました。バス停にあるので一見便利そうですが、道路沿いのため少しほこりっぽくなっているため、その点が課題になるかもしれないと感じました。

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(傘のシェアリング)

無人コンビニ

今回は、3つの形態の無人コンビニを体験しました。

1)百鮮Go无人超市

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(百鮮Go无人超市)

お店にゲートがないので、誰でも中に入れます。
「無人コンビ二」といっても、百鮮Goにレジはありません。ショーケースの上部にあるバーコードに百鮮Goアプリを立ち上げスキャンすれば扉が開き、商品を取り出すとショーケースエリアを出る際に商品に取り付けられたRFIDタグ(ICタグ)が反応し、課金されるという仕組みでした。即時決済されウィーチャットに連絡がきました。日本の電話番号でも登録可能でした。

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(百鮮Goアプリを立ち上げスキャンすると扉が開きます)

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(RFIDタグ。太陽にかざすと基盤が見えます)

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扉を開けたときに、万一他の誰かに商品を取り出されてしまうと、その人におごってしまうことになりますので注意が必要です!

2)コンテナ型

写真は未来便利店(EasyGo・イージーゴー)。コンテナといってもかなり装飾されていておしゃれなので、一見無人コンビ二と気づきませんでした。こちらで使えるのはウィーチャットのみ。

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日本のお菓子や韓国の商品が大半で、中国製品は少なかったように思います。 商品にはやっぱりRFIDタグが貼り付けてあり、決済エリアで決済が無事完了するとゲートが開きます。

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3)ロボット型

F5未来商店(F5 Future Store)は、テレビなどを製造しているTCL集団(Telephone Company Limited Corporation)の巨大オフィスに併設されていました。こちらはオフィスビル内ではありますが、やはり認証なしで店内に自由に入れます。

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(F5未来商店)

タッチパネルでウィーチャットかアリペイを使って支払います。

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食事を注文すると、自動販売機の扉が開き、ロボットアームが出てきて…1分ほどで手元に届きます。このときはアツアツのおでんのようなものを注文しました。

食べるのは、自動販売機に設置された台の上。食べ終わってからボタンを押すと、台が扉のように開いてゴミが下に落ち、回収していったのには少しビックリしました。
ショーケース型の無人コンビニの形態は、日本でも展開しやすそうと感じました。

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LODGEメンバーの深セン体験記はいかがだったでしょうか?
深センが起業しやすく、新しいことに挑戦しやすい環境になった背景や環境について、タイガーモブ社の上原さんにうかがいました。

深センはなぜ、起業しやすい環境なのか

「深センの起業のしやすい環境は、経済特区として指定されたことで工場が集積し、製造業のノウハウが蓄積したことで実現したと考えられます。

1980年、鄧小平(とう しょうへい)の改革開放政策によって、深センは中国初の経済特区の一つに指定されます。これにより、深センは政府による国有企業の誘致、隣接する香港からの発注などもあり、一気に製品の下請け工業団地として発展していきます。アップル製品の部品製造を行う鴻海精密工業(こうかいせいみつこうぎょう)を代表するように、高品質の精密部品加工を請け負えるだけの技術力も集積し始めます。
こうして世界の工場として製造を引き受けるうちに、ノウハウが蓄積され、少しずつ設計やアレンジなど付加価値の高いサービスへ移行し、モノづくりスタートアップの集積地へと姿を変えていきました。

現在、深センはベンチャーキャピタルや投資家、弁護士など専門家が集まっており、シェアオフィスもたくさんあるなど、起業しやすい環境がそろっています。これらの環境が整ったのは、下請けから始まりノウハウが蓄積され、モノづくりに必要な技術・部品・労働力が簡単に調達できる、製造業のエコシステムが出来上がっていて、それが投資家たちにとって魅力的だったからだと言えます」

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( ヤフーのコラボレーションスペース「LODGE」で開催した、深セン未来合宿1期(世界最速で成長する中国最新ITサービスの解体新書)報告会の様子)

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