ダイバーシティ時代に「性別を選択する」ということ

ダイバーシティ時代に「性別を選択する」ということ

Yahoo! JAPAN IDの取得時に選択していただく性別項目に、以下の2項目を追加します。2018年9月末より順次、変更していく予定です。

【変更内容】
現状(2択) 男性・女性
 ↓ 
変更(4択) 男性・女性・その他・回答しない

「男性」「女性」以外に「その他」「回答しない」も選択していただけるようになります。これは、LGBTなどへの理解促進が世界的なスタンダードになりつつある背景によるものです。

ヤフーでは、LGBTをテーマとした「レインボープロジェクト」という活動を通して、LGBT当事者が会社で安心して過ごせる環境整備と組織風土の醸成に取り組んでいます。今回は「レインボープロジェクト」の責任者である西田に、Yahoo! JAPAN ID取得時の性別項目を増やした意図、これまでの二択式の性別選択における課題などについて聞きました。

-これまでの「男性」または「女性」を選択させる二択式の課題は何だったのでしょうか?

これまでは、何か書類を提出したり、ウェブサービスを利用するためにIDを取得したりする際には「男性」「女性」のどちらかの性を選択するのが一般的だったと思います。

昨今ではダイバーシティへの理解が進み、ヤフーでもダイバーシティを大切にしていこう、とうたっています。ですが、毎月約4千万の ユーザーが利用してくださっているYahoo! JAPAN IDを取得するときに「男性」または「女性」のどちらかしか選べないというのは、ダイバーシティを推進していく上でギャップが出てきているのではないか? ということが課題としてあがっていました。

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(「レインボープロジェクト」責任者、執行役員の西田)

将来的には「性別を選択」しなくなることが一番シンプル

-選択肢に「その他」「回答しない」この2つの項目を追加する理由を教えてください

トランスジェンダーの人などは「性別を選択する」行為自体に苦痛を感じることもあるそうです。たとえば、履歴書などの書類を提出する際に、自分が男性・女性のどちらにも当てはまらないと感じている人にとっては、性別の選択を迫られること自体が、苦痛となるとも聞いています。
そう考えると、本当は性別項目自体を削除することが理想なのかもしれませんが、まずは一歩踏み出そうと、今回は「その他」「回答しない」の2項目の追加としました。

そもそも自分がどの性なのかわからない、という人たちが「その他」という言葉でまとめられてしまうことについてどう感じるのかなどについては、社内外の当事者にヒアリングも行い、参考にさせていただきました。
「回答しない」は、「Yahoo! JAPAN IDの取得時に自分の性についての情報を(Yahoo! JAPANに)公開しない」という意思表示として選択できる項目です。

今回はこの2項目を追加しますが、最終的には性別項目自体がなくなることが一番シンプルだと考えています。

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(現在のYahoo! JAPAN ID取得画面)

-今年5月に開催された、「東京レインボープライド2018」に参加されてどうでしたか?

ヤフーとしての参加は昨年に続き2回目です。私は今回初めて参加しましたが、このように、あるときある場所に、当事者だけでなく多くの人が集まって、マイノリティーの人たちにスポットをあて性の多様性を伝えることで、多様性が当たり前になる世界をつくる場としては非常に良い取り組みだと思いました。

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(2018年5月に東京・代々木公園で開催された「東京レインボープライド2018」にて)

-ヤフーとして取り組んでいるダイバーシティとはどういうものですか?

最終的には、ダイバーシティの推進をしなくてもよい世界になっていくことが理想なのだと思います。
「多様性を大切にする」とわざわざ言わなければならないのは、現状がそうではないから。たとえば、男性と女性が活躍している割合が同じになったら「もっと女性の活躍を推進しよう」と言う必要はなくなりますよね。
それと同じように、マイノリティーの人がそれを一切意識せずに過ごせる社会。究極は、「男性」「女性」という性別の話すらしなくていい、そんな世界が理想なのかもしれません。

また、自分で選ぶことができない、選択の余地がないこともあると思います。たとえば、男性に生まれるか、女性に生まれるか、男性の心をもっているのか、女性の心をもっているのか、などは自分で選ぶことができません。
その人がどう生まれたとしても、どういう状況にあったとしても、機会は平等に与えられるべきだと思っています。まず、平等な機会のもとでの健全な競争が行われ、自分で選んでいないことが原因で何かをあきらめなくてもよくなる世界が理想です。

自分が選んでいないものが原因で何かが決まってしまう環境は、会社にとっても社会にとっても決してプラスではないと思いますし、本来は発揮できたはずの才能が生かされずに終わってしまうことは、とてももったいないと思います。

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(東京レインボープライド2018の総動員数は約15万人)

-ヤフーがダイバーシティを推進する意義を教えてください

そもそも、インターネットは、言葉も国境も人種も超えてつながれる平等な世界です。だからこそ、ここまで広がったのだと思いますし、情報やつながりを得ることで、いろいろな人にとって救いになっている面もあるのではないでしょうか。

経済合理性で動くと、最初は多数派であるマジョリティーに向けて物事を動かさないといろいろなことが遅れてしまうため、マイノリティーはつい後回しにされがちです。その後いかに速く、マイノリティーをキャッチアップできるかが、これからはさらに大切になってくると思います。

今回の対応について「一番シンプルなのは性別を問わないことですが、ヤフーがこの変更を実施することに、とてもメッセージ性があります」と言ってくださる社外の当事者もいました。

私たちは「どうして性別を選択することが苦痛なのか?」と、自分がまだ知らないことを想像するのが難しいときがあると思います。
まず、自分以外の人の状況や価値観などを知ることが、「多様性を大切にする」ための大事な一歩になるのではないでしょうか。

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(「ダイバーシティプロジェクト」のTシャツ。デザイン:レインボープロジェクトの吉川 宗志)

【ヤフーのダイバーシティの基本方針】

多様な人財が最大限の能力を発揮し、組織力を最大化することで、私たちの企業ミッションである「情報技術で人々や社会の課題を解決すること」を目指します。ミッションおよび経営戦略の実現のため、人事のコアコンセプトを「才能と情熱を解き放つ」として推進しています。
実現に向けて、経験・価値観・ライフステージ・属性の違いにかかわらず、社員ひとりひとりを尊重し、活躍できる土台をつくり、多様なサービスや事業のイノベーション創出に生かしていきます。
そのための取り組みとして、ヤフーでは女性・育児・LGBT・障がい者・グローバルなどをテーマとして、社員のプロジェクトによる課題解決を中心に取り組んでいます。また、各プロジェクトごとに執行役員によるスポンサーシップ体制を構築し、経営コミットメントのもと、ダイバーシティの施策を行っています。

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