「LGBT」とは?「その人らしさ」が社会を変える

「LGBT」とは?「その人らしさ」が社会を変える

Yahoo! JAPANは、8月21日(月)から25日(金)の5日間、「ダイバーシティウィーク2017」と題して、一人ひとりがダイバーシティを考えるきっかけづくりを目的としたイベントを開催。期間中は毎日、ダイバーシティをテーマとした講演会やワークショップを行いました。

今回はそのなかから、女装パフォーマーでエッセイストのブルボンヌさんをお招きした「LGBT講演会」の様子をご紹介します。

ブルボンヌさん特別講演「LGBTとは?『オネエ』ってどんな人のこと?」

みなさんは、「オネエ」ってどんな人のことだと思いますか?
「オネエ」のなかには見た目が男っぽい人もいれば、女っぽい人もいます。体自体を女性に変えている人もいれば、変えていない人もいます。
そして、男性のわりには女性らしい、柔らかい雰囲気を持っているけれど、女性のことが好き、というストレートの人もいます。

そのように考えていくと「オネエと一言で言うけれど、その共通点って何なの?」と思う方もいらっしゃると思いますので、分解して考えてみましょう。

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1.肉体の性
体格、体毛、生殖器の形が男性、女性で異なります。ただし、ホルモン投与や手術により変えることもできます。また、両性の特徴をもつ肉体もあります。

2.装いの性
ヘアスタイル、服装などは、基本的には男性向き、女性向きがあります。

3.振る舞いの性
言葉遣いやしぐさによって、女性的、男性的といったそれぞれの印象を持たれることがあります。

4.生物学上の性
XX、XYといった遺伝子上の男性と女性です。

5.戸籍上の性
日本の法律上では、生物学上の性から戸籍上の性を変更できます。

以上のように、人を「男・女」と判断する材料にはさまざまな要素があります。
また、
6. 対象の性
自分から見て、男性と女性のどちらの性が好きなのかということ。
恋愛対象、性的欲求の対象の性。

という、性の指向の違いもあります。

いわゆる「オネエキャラ」とされている人の共通点をまとめると、「生まれた時の性別(遺伝子)が男性で、自身のもつ女性的な性質を見た目やしぐさ、口調などで表現している人」となります。
そして、それらの人たちの自分が思う性(性自認)や好きになる対象の性(性的指向)はバラバラです。

テレビのバラエティー番組などでは「オネエキャラ」は「女性らしい男性」をあらわすためによく使われる言葉ですが、その曖昧さを解き明かすと、性の複雑さ、多様性が見えてくるのではないでしょうか。

このように、一般的には「男と女」と二元論で語りがちですが、生物学的な性以外に、性自認や性的指向というとらえ方があるということを知っていただくことが、性的少数者を理解するための入り口になると思います。

「LGBT」とは?

LGBTという言葉は、

L:レズビアン(同性を好きになる女性)
G:ゲイ(同性を好きになる男性)
B:バイセクシュアル(性別にかかわらず、恋愛対象になる人)
T:トランスジェンダー(身体的な性と自認する性が一致しない人)

これらの頭文字をつなげた略語(※)です。
※日本語では、LGBTを含めた性的マイノリティー(性的少数者)全体を指す用語としても使われています。

「LGB」までは性の対象がテーマ、Tは性自認がテーマの話で、性同一性障害の方や、どちらの性でもないと感じている人も含まれます。

また、「LGBT」と表現すると性の少数者は4つに分けられると思われがちですが、実際はさらにいろいろな性的少数者がいます。

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たとえば、

A:アクセシャル(無性愛の人)
I:インターセックス(性分化疾患)
Q:クイア/クエスチョニング(分類に違和感)

このように「LGBT」と表現される中には、頭文字にはないけれど「A」「I」「Q」といった、性的少数者も含まれていることをご理解いただければと思います。

LGBTは、ある調査によれば日本の人口の7.6%いるとも言われています。

また、ライフステージにより直面する困難もさまざまです。たとえば、学校・職場でのいじめ、相談相手や仲間が見つからない、パートナーの法的保障がない、DVの発見が遅い、老後への不安が大きい、などが挙げられます。

みなさんは、テレビで見ている「オネエキャラ」に、おもしろく華やかなイメージを持っているかもしれませんね。でもそれは、タレントとして活動している性的少数者の一部分にすぎません。
普通に生活している性的少数者の多くは、上記のような困難な面を抱えています。

ちなみに、私ブルボンヌは「生物学的に男性で、男性が好きなゲイ(男性同性愛者)である45歳の男性が、主に女装(異性装)のオネエキャラとしてお仕事をしている人」です。

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性は、一人ひとりの中でいろいろな形で存在し、変化するもの

新宿2丁目でお店を出していると、いろいろな人との出会いがあります。その中でわかったのは、性自認は自分が決めるものなのだけれど、環境の中でより納得のいくものを選ぶことで変化することもある、ということです。

たとえば、女装をしていたゲイ男性が、ストレートの男性に女性として愛されることで、トランスジェンダーに移行するという事例や、ずっと男性として生き続けてきた60代の男性が、自分の性に対する違和感に気づき、その後は女性として生きていく選択をした例もあります。
また、結婚後に男性が性自認に違和感を覚えて奥さまに告白。奥さまがそれを受け入れた結果、見た目がレズビアンカップルのように変わったというご夫婦もいます。

このように、性にまつわる生き方は時間とともに変化することもあります。性は、とても複雑な要素で成り立っており、一人ひとりの中でいろいろな形で存在し、変化するものです。

性的少数者であると自覚している人は、皆さんの想像以上にいるわけですし、このように個人の中での気付きや移行もあります。その人間の本質を無視し、いわゆる「男と女」だけに振り分けるというのは、社会システムにとっては明解で得だったのかもしれません。

でもその単純な分類に、感情のある人間が押し込められれば、居場所を失い、生きがいも育ちにくくなります。異物と認定されることでいじめの理由にもなります。その人らしい想像力や柔軟な発想力を奪うことにもなるでしょう。
そんな中、数でなく質、センスやアイデアこそが武器になるのだとすれば、「画一的に抑え込まれた人々」と「伸び伸びと自身の特質を活かして生きられる人々」を比べたとき、創造の可能性を感じられるのは後者だと思うのです。これからは男・女のラベルではなく個人の魅力を活かせる社会が望まれるのではないでしょうか。

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性は、人生そのもの

「LGBT」という単語は、現在ブームのように取り上げられていますが、これをきっかけに「女性って何か? 男性って何か? 自分の中の女性性・男性性って何か?」を考えていただけたらと思います。

性的少数者が、イベントで掲げる言葉に「レインボー」と「プライド」があります。「レインボー」は、いろいろな色がある多様性を意味し、「プライド」は、そういう自分に誇りを持って生きていこうという意味が込められています。

あるがままの「性」に誇りと希望を持って自身の心に向き合って「性=生」を受け入れて生きること。
そして、他者の性=生の多様を認め、寛容することが、これからの時代の社会には必要だと思います。

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