アクセシビリティやるぞ! 夏祭り2

アクセシビリティやるぞ! 夏祭り2

Yahoo! JAPANのアクセシビリティ黒帯の中野です。

9月28日に、アルファサード株式会社、株式会社ビジネス・アーキテクツ、株式会社ミツエーリンクス、ヤフー株式会社の4社共催で「アクセシビリティやるぞ! 夏祭り2 〜俺たちにテストさせろスペシャル〜」というイベントを開催しました。

障がいをもつ方々がどのようにアプリを使っているか、という点に着目した今回のイベントの様子をご紹介します。


なぜこのようなイベントを開催したか

私は社内でアクセシビリティに関する取り組みや啓発を行っていますが、社内における「アクセシビリティ」という単語や取り組み自体の認知度や理解がまだ少ないのが現状です。

そんな時に、同じようにアクセシビリティの取り組みをおこなっている制作会社や開発会社の方々にお声がけいただき、
「アクセシビリティに対する取り組み自体を盛り上げたい」
「アクセシビリティ=障がい者対応という固定概念を変えたい」
障がい者差別解消法が施行される前にアクセシビリティに対する意識を高めたい」
といった思いで、2014年12月から複数社共催でアクセシビリティに関するイベントとセミナーを不定期に開催してきました。

当初はまだ、どのようにアクセシビリティに関心を持ってもらうかといった導入部分の話題に触れることが多かったため、実際に何をするかについては深く掘り下げていませんでした。
そのため、アクセシビリティが変わることでサービスやアプリの利用状況が大きく変わる障がい当事者がどのようにサービスやアプリに触れているかといった具体的な話はしていませんでした。

そこで、今回はウェブアクセシビリティ基盤委員会に参加されている障がい当事者の全盲の中根さんと弱視の伊敷さんにご協力いただき、スマホアプリをその場でユーザーテストしてもらい、参加者にその場で見てもらうというイベントを開催しました。

イベントは以下の3セッション構成で行いました。

セッション1 :視覚障がい当事者に聞く、最近のウェブ&アプリのアクセシビリティ
セッション2 :俺たちにテストさせろ! スマホアプリのユーザーテスト生実況!
セッション3 :パネルディスカッション「アクセシブルなアプリとWebの現在と未来 ~どうすればポケモンを捕獲できるのか~」

なお、当日の模様はYouTubeで配信を行い、ハッシュタグ「#a11yfes」をつけてツイートしたツイートはTogetterにまとめてありますので、よろしければそちらもご覧いただければと思います。

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(当日の様子はミツエーリンクスの名古屋さんに行っていただいたグラフィックレコーディングでも記録しました)

セッション1 :視覚障がい当事者に聞く、最近のウェブ&アプリのアクセシビリティ

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(画面左からミツエーリンクスの木達さん、ゲストの伊敷さん、中根さん)

まず、中根さんは全盲について、伊敷さんは弱視について、それぞれご本人の障がいについての説明をされました。
特に弱視については、人によってさまざまな障がいがあり、一口に「弱視」とくくれない多様な状況であるという説明が参考になりました。

中根さんはパソコンとスマホで文字や操作を読み上げてくれる「音声読み上げ機能」と使い方について説明し、伊敷さんは通常の白背景メインの画面ではまぶしくて使いづらいために利用している、色反転機能と画面拡大機能について説明してくださいました。

その後、スマホでアプリとウェブをどのように使っているかについてお二人にそれぞれお聞きしてから、セッション2のユーザーテストを行いました。

セッション2 :俺たちにテストさせろ! スマホアプリのユーザーテスト生実況!

まず、「Yahoo!防災速報」「Yahoo!地図」についてテストを行いました。

お二人にはYahoo!防災速報の地域設定を行ってもらいました。
中根さんが操作した際には、どのような機能のボタンか分からない状態で読み上げられたり、データの読み込み状態が終わったときの合図がないので読み込みが終わったことが分からなかったりと、かなり苦労されていました。

ですが、過去の経験からどのようにアプリが動くかや、どこにボタンがあるかを推測しながらアプリを操作してテストを終了されていました。

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(音声読み上げ機能を使ってスマホを操作する中根さん)

伊敷さんにも同じく地域設定を行ってもらいました。
文字を入力する部分に書かれている、補足テキストの文字の色が薄くて読めなかったり、画面を拡大して操作しているため画面右上にある閉じるボタンを見失って何をすればよいか分からなくなったりと、開発者の想定外の操作で戸惑うことがありながら、設定まで行っていただきました。

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(画面に顔を近づけてスマホを操作する伊敷さん。モニターには色反転機能で色を反転をしたスマホの画面が写っている)

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(左からYahoo!防災速報担当の先山、瀬川)

次に、Yahoo!地図では、現在地から近くの家電量販店までの道案内を開始する直前までを伊敷さんにテストしてもらいました。
検索窓に家電量販店の名前を入れて検索を行い、地図の上にルート表示を行うところまではよかったのですが、画面右下にあった「徒歩で行く」というボタンを見つけられず、Yahoo!地図担当の水谷からヒントをもらって先に進むことができました。

また、「徒歩で行く」ボタンを押すと周囲の安全を行うためのダイアログが表示されるのですが、そちらの文字が多く、画面を拡大したまま利用していると何が書かれているか分からないという問題が見つかりました。

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(コメントするYahoo!地図担当の水谷)

最後に、LAB株式会社で開発中のブログリーダーアプリについてテストを行いました。

このアプリは中根さんにこの日、その場で初めてテストを行ってもらいました。あるブログ記事をお気に入りに登録するというシナリオでテストを行ったので、まずはアプリの画面を把握するために、画面のパーツを読み上げる音声を聞きながら、画面を触ってメニュー、タブボタンなどの配置を確認していきました。続けて中身を見てもらい、ブログ記事をお気に入りに登録していただきました。

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(ブログリーダーアプリの開発者であるLAB株式会社の安倍さん)

このアプリは先にテストをしてもらったYahoo!防災速報やYahoo!地図とは異なり、最初からアクセシビリティに配慮した設計・開発を行っていたため、ほぼ開発者の想定通りのテスト結果となりました。

セッション3 :パネルディスカッション「アクセシブルなアプリとWebの現在と未来 ~どうすればポケモンを捕獲できるのか~」

セッション3では、パネルディスカッションを行いました。
アクセシビリティを考慮していないと想像されるゲームアプリでも、視覚障がい者が工夫してプレイされている例がまず紹介されました。
その後、開発者目線でのユーザーテストの感想や、アプリやウェブのアクセシビリティをいかに上げていくか、自分たちは何をすべきかといった、多岐に渡って議論しました。

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(パネリスト一同。左からミツエーリンクスの木達さん、ビジネス・アーキテクツ太田さん、ヤフー中野、アルファサード野田さん、ゲストの伊敷さん、中根さん)

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(モデレーターのビジネス・アーキテクツ伊原さん)

最後に


今回は、障がいをもつ方たちにテストを行っていただくことで、どのようにアプリやウェブを利用しているかを直接聞くことができ、発見や気づきがとても多い有意義なイベントでした。

この発見や気づきをもとに、課題解決することが今後の私たちの役割となりますので、イベントを行うだけではなく、少しでも次のステップにつなげていきたいと思います。

【関連リンク】
「より多くのユーザーに使っていただくために」ヤフーのアクセシビリティ黒帯の取り組み